政府:消費増税先送りでも15年度のPB赤字半減目標を維持へ

来年10月予定の消費増税の1年半延 期を安倍晋三首相は決断したが、政府は2015年度の基礎的財政収支の赤 字の半減目標を達成できる見通しだ。税収上振れが見込める上、歳出削 減も進めて財政健全化に向けた姿勢を内外に示す。複数の政府関係者が ブルームバーグ・ニュースに対し明らかにした。

今年度税収予算額は50兆円だが、関係者によると円安・株高を背景 に企業収益が好調で主に法人税収の上方修正が想定されている。この土 台増を反映し、来年度税収予算額がさらに上振れる可能性が高い。同時 に消費税増収分を想定した子育て支援などの社会保障の充実に向ける財 源の確保を含めて、歳出を大幅に見直して目標を達成する。

基礎的財政収支は税収・税外収入と歳出(国債の元本返済や利子の 支払いに充てる国債費を除く)との収支を示す。政府が昨年8月に閣議 了解した「中期財政計画」では、来年度に消費税率を2ポイント引き上 げ10%にすることを前提に、国・地方を合わせた対対国内総生産 (GDP)比の赤字を10年度の6.6%から15年度に3.3%に半減させる目 標を明記していた。

今年度の赤字は対GDP比5.1%の25.4兆円。内閣府が今年7月、 経済財政諮問会議に提出した「中長期の経済財政に関する試算」では、 来年度に同3.2%の16.1兆円と目標を達成する見通しを示していた。し かし、消費増税の先送りによって来年度の税収見込みが1.5兆円程度減 少するため、目標の達成は困難との見方が強まっていた。

歳出歳入で努力

政府は消費税率の増収分を財源に来年度予算で子育てや医療など社 会保障の拡充に約1.8兆円程度を充てることを想定していた。これに対 し、麻生太郎財務相は21日の閣議後会見で、「増税を延期する以上は社 会保障の充実も見直さざるを得ない」と強調。税率8%では1.35兆円程 度にとどまることから「その範囲内で優先順位をつけて予算編成をやっ ていかざるを得ない」との考えを示した。

一方、政府は今年度の税収の上振れ分を財源に、景気の腰折れを回 避するための経済対策を盛り込んだ2-3兆円規模の今年度補正予算を 編成する方針だ。しかし、来年1月の通常国会の冒頭での成立が想定さ れる補正予算が来年度に繰り越されて支出された場合、基礎的財政収支 の赤字拡大につながるため、規模は抑制する。

信頼確保

安倍首相は消費増税の先送りと衆院解散総選挙を表明した18日、甘 利明経済再生相に経済対策の取りまとめを指示した。この日の会見で 「財政再建の旗を降ろすことは決してない。国際社会における信頼を確 保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たす。安倍政権のこ うした立場は一切揺らぐことはない」と述べた。

また20年度の基礎的財政収支の黒字化目標の堅持を表明したが、来 年度については明言を避けていた。関係者は半減目標の達成については 安倍首相の強い意向があるとの見方を示した。

甘利再生相は同日の記者会見で「15年度の半減目標は最大限努力す る」とした上で、「経済対策は財政再建にマイナスに働き、目標達成に 黄色信号がつく。補正予算の規模を大きくすればするほど難しくなる」 と述べ、補正の規模を圧縮する可能性を示唆した。

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