ドラギ総裁の1兆ユーロの謎-解くのは金融の錬金術師

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は1兆ユーロ(約148兆円)の問題に直面している。ECBのバラン スシートを現在の2兆ユーロから3兆ユーロ規模にどうやって膨張させ るのかという問題だ。

ECBは20日、資産担保証券(ABS)を購入するための法的文書 を公表したが、バランスシートを膨らませる最も手っ取り早い方法であ る国債購入には恐らく踏み込めない。そのような措置は欧州連合 (EU)協定違反である恐れがある上に、政策委員会内の強力な少数派 を怒らせる公算が大きいからだ。

こうした問題を迂回するには、ちょっとした金融の錬金術が有用 だ。元ECB調査責任者のルクレツィア・ライクリン氏とロンドン・ス クール・オブ・エコノミクスのルイス・ガリカノ氏は、中銀が適切な信 号を金融業界に送れば、ユーロ参加国の国債の集合体的な動きに連動す る商品の設計が可能だろうとみる。両氏はこうした商品を「セーフマー ケット債」と名付けた。

この証券は質の高い国債を裏付けとし、国別の国債加重割合はそれ ぞれのユーロ参加国の経済規模によって決まる。ECBは同証券を買う ことで流動性を高め信用環境を緩めてインフレ率を押し上げることがで きるが、国債を買ったことにはならない。

この案は「捉えにくいインフレの目標をECBが達成するのに役立 つばかりでなく、ユーロ圏の金融安定にも寄与するだろう」とエコノミ ストらは政策提言ポータルサイト「VoxEU」で指摘している。

また、汎欧州的な債券を導入し、リスクが政府から銀行に直接波及 する度合いを減らすことで、ユーロの問題点の幾つかを解決できるとも 指摘した。

原題:Answers to Draghi’s $1.3 Trillion Quantitative Easing Conundrum(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE