JPX日経400先物始まる、連動資産は増加へ-個別銘柄影響も

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JPX日経インデックス400の先物 取引が25日に始まる。投資家にとっては先物を使ったヘッジ目的の売買 も可能になり、利便性の向上で原資産のJPX日経400自体の流動性が 増え、連動する資産の一層の拡大にもつながりそうだ。

日本取引所グループ(JPX)によると、JPX日経400先物は四 半期ごとの5限月が取引され、取引時間は日経平均株価やTOPIX先 物と同じ午前9時-午後3時15分、午後4時30分-翌午前3時。取引単 位は指数値の100倍、呼値単位は5ポイントとなっている。

企業の株主資本利益率(ROE)を重視し、ことしから算出が始ま ったJPX日経400に連動する上場投資信託(ETF)4本と公募投信 の総資産規模は、19日時点で3262億円と順調に増えている。連動資産の 成長で、投資家から先物導入の要望も強まっていた。

三井住友アセットマネジメントの平川康彦シニアファンドマネージ ャーは、「先物ができると指数としての利便性が高まり、流動性が増 す。TOPIX先物や日経平均先物、オプションのいくらかはJPX日 経400先物に置き換わるだろう」とみている。

先物の登場で、個別銘柄への影響を小さくしながら新規投資がしや すくなり、先物のショート(売り持ち)もできるため、保有するポート フォリオのヘッジが可能。ETFは上場しているが、「残高や流動性を 考慮すると、先物ができた方が売買しやすい」と平川氏は言う。

225mini意識の仕掛け

JPX日経400先物の想定元本は約127万円と、取引単位1000倍で 約1700万円が必要な日経平均、同1万倍で約1400万円が必要な TOPIXに比べ小さい。元本面では、取引単位100倍の日経225mini、 同1000倍のミニTOPIX先物に近く設定されている。

JPX日経400先物が上場する大阪取引所・市場企画部の塙明紘調 査役は、「基本的な設計は日経225miniやミニTOPIX先物に合わせ てある」と指摘。デリバティブの場合は、「流動性を作ることが大事。 最初から小さいサイズにしたのは、誰にでも使ってもらえる商品が必 要」と狙いを説明する。

JPX日経400先物の流動性向上を担うマーケットメーカーは ABN・アムロ・クリアリング証券、ニューエッジ・ジャパン証券、 BNPパリバ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券など7社。 SBI証券やカブドットコム証券、岩井コスモ証券、光世証券は、個人 向けに同先物を扱う。

推定市場規模は3755億円

みずほ証券の永吉勇人チーフクオンツアナリストは、「先物が登場 すれば、裁定取引が組めるようになり、直接的効果では連動資産が増え る」と予想。先物が上場しても、投資家からあまり使われないケースも あるが、「JPX日経400の場合は多くの投資家が現指数に注目してい るため、先物も使われる」とみる。

大阪取引所の10月24日時点の試算では、先物市場規模(想定元本ベ ース)は日経平均が6兆9447億円、TOPIXが6兆1572億円。先物と 現物市場規模の比率からJPX日経400先物の場合を想定すると、市場 規模は3755億円、先物建玉は33万2046単位になる。

日本の公的年金を運用するGPIFは4月、JPX日経400をパッ シブ運用のインデックスの1つに加えることを明らかにした。年金積立 金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月末時点で、JPX日経400 に連動した資産を1511億円保有する。日本銀行は10月31日、指数連動型 ETFの資産買い入れ対象ついて、新たにJPX日経400を加えた。日 銀の従来の買い入れ対象はTOPIXと日経平均だった。

「先物が上場すれば、証券会社は日銀の買い注文に応じるポジショ ン(持ち高)を保有できるようになる」と、東海東京調査センターの鈴 木誠一マーケットアナリストは指摘。先物の上場まで日銀はJPX日 経400のETFを買えなかったとみる同氏は、「先物上場日以降には買 ってくるだろう」と予測した。

三菱食品や京葉銀、山口FGなど

一方、SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、 先物上場で大規模なパッシブファンドが増える効果がある、との見方 だ。構成銘柄へのインパクトを抑え、大きなパッシブファンドを組成す るには先物の存在が不可欠だが、日次平均出来高の1割を上限とした場 合、現在は最大で250億円程度のファンドしか組成できないと言う。

伊藤氏は、公的年金などが数兆円規模のパッシブファンドを組成す れば、時価総額に比べ流動性が低い銘柄にポジティブ・インパクトが予 想される、と分析。1兆円規模のJPX日経400パッシブファンドが新 規組成された場合、インパクトが大きい銘柄として三菱食品、京葉銀 行、十六銀行、日本パーカライジング、持田製薬、セリア、伊予銀行、 山口フィナンシャルグループ、アークスなどを挙げる。

JPX日経400に対する投資家の注目度の高さは、パフォーマンス の優位からも顕著だ。年初来上昇率はJPX日経400の8.5%高に対し、 TOPIXは7.3%高、日経平均は6.2%高。安倍政権が成長戦略の中で 企業の稼ぐ力の強化を打ち出す中、市場や企業のコーポレート・ガバナ ンス重視の流れも追い風となっている。

もっとも、先物導入でJPX日経400の上値が重くなる可能性を指 摘する向きもある。「一般的に先物がないと、売りの相場観の方が反映 されにくく、ロング(買い持ち)バイアスがかかりやすい。安いコスト で空売りできるようになり、それが解消される可能性がある」と岡三証 券の栗田昌孝シニアクオンツアナリストは言う。日経平均とTOPIX の先物は1988年9月に取引が開始され、間もなく「日本株は天井になっ た」と栗田氏は振り返る。

21日のJPX日経400は前日比0.1%安の12755.77で取引を開始、ユ ーロ圏経済統計の低調や為替の円安一服、3連休を前にした持ち高整理 の動きからその後下落率が1%を超す場面があった。

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