米エアバック早期和解で情報封印-損賠検討の被害者に不利に

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タカタ製エアバッグの不具合による 人身事故で、示談や裁判の審理入り前に和解するケースが相次いでお り、損害賠償請求を検討している被害者にとって関連情報が入手できな い状況となっている。

示談や和解は金銭面に関して当事者にとって重要だが、タカタのほ か、ホンダ、ゼネラル・モーターズ(GM)、フィアット・クライスラ ー・オートモービルズ(FCA)など訴えられる側にとっては、不利な 情報が封印され、訴訟を検討している第三者に知られないで済むという 恩恵をもたらす。

こうした非公開での早期決着は、米国で4人の死亡事故との関連性 が指摘されているエアバッグ不具合に関して不明な点が数多く残ること になる。これまで被害の申し立てのあった大半のケースでは、被害者側 弁護士が証拠を集める前に双方の合意により解決している。

ブルームバーグが調べた12件の訴訟のうち、5件は審理で情報が公 開される前に和解。1件は和解の可能性が検討されており、そのほか調 停中が1件、提訴取り下げが1件だった。審理まで進んだケースは一件 もない。

「極めて不可解」

1960年代から自動車の安全性を取り上げてきた消費者問題活動家の ラルフ・ネーダー氏は、「極めて不可解だ」とした上で、「米運輸省道 路交通安全局(NHTSA)や議会、メディア、消費者団体の目から逃 れた情報がたくさんある。最も重要な情報は通常、製造物責任(PL) 訴訟で明らかになるが、メーカーらは和解交渉を進めている。これまで は1件も審理に至っていない」と指摘した。

米国でのエアバッグの不具合が原因とされる事故はフロリダなどの 湿度が高い地域に集中している。ダミアン・フェルナンデス氏は2013年 9月、フロリダ州でクライスラーの「ドッジ・チャージャー」を運転 中、交差点の事故で起動したエアバッグで足を負傷したが、訴訟を起こ さずにクライスラーと10カ月前に示談した。

同氏の代理人、ジェイソン・ターチン弁護士はインタビューで、ク ライスラーは「迅速な解決を望んだ」と発言。示談の条件は公表できな いとした上で、「まるで口封じの金を支払うかのようだった」と述べ た。

タカタの広報担当アルビー・バーマン氏は電子メールで配布した発 表資料で、係争中の案件に関してコメントしないが、NHTSAに全面 協力し、要請への対応に取り組んでいると述べた。

リッチモンド大学(バージニア州)のカール・トビアス教授(法 律)は、タカタや自動車メーカーは被告一般と同じく、裁判で自分たち が不利だと判断すれば和解を目指すと指摘。「不具合が明確であればあ るほど、和解する可能性は高まる」と説明した。

原題:Air-Bag Settlements Keep Details From Other Victims of Accidents(抜粋)

--取材協力:堀江政嗣.

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