政投銀:航空機融資倍増で50億ドル目指す-新戦略で成長維持

日本政策投資銀行は、航空機ファイ ナンス事業で2017年度に累積の融資残高を最大で現在の2倍の50億ドル (約5820億円)とすることを目指す。アジアを中心に機材ファイナンス が有望との認識が広がり融資競争が激化する中で、新戦略で対応する。

政投銀で航空機ファイナンス事業のチーム責任者を務める、企業金 融第4部の増田真男次長がブルームバーグ・ニュースとのインタビュー で語った。増田氏は政投銀の融資の幅を広げ、「次の3年で合計40億か ら50億ドル規模のポートフォリオを作りたい」と述べた。今上期までの 融資残高が25億ドル程度となったことも明らかにした。

政投銀は20年近い航空産業界との取引実績をベースに、11年から本 格的に航空機ファイナンス事業を開始。3年目単体の融資額は14億ドル と当初目標の5億ドルを大きく上回った。これまでは主力プレーヤーだ った欧州金融機関が金融危機でこの分野から撤退したことや、新興国な どの旺盛な航空機需要を背景に融資額を積み増すことができた。

増田氏によると、現在は欧州勢の市場復帰や相次ぐ新規参入などで 既にマージンの引き下げ競争が起こるなど市場環境に変化が見られると いう。その上で同氏は「航空機市場が世界で1000億ドル規模と言われる 中で順調にスタートできたが、大胆な方針変更が必要だ」と述べた。

具体的には融資対象を新造機から中古機材に拡大したり、顧客の信 用格付けに基づくアプローチの幅を緩和、残価の少ない機材に対する融 資もリスクを取りながら積極的に行う-の3つの新機軸へ戦略転換する ことで同行の成長を加速させる方針を示した。

米航空機メーカー、ボーイングの14年度最新市場予測によると、今 後20年間での新造機需要は、機数ベースで3万6770機、金額で5兆2000 億ドルと前年度予測から4.2%増を見込む。このうち、中国を含むアジ ア太平洋地域が1万3460機と、地域別で最大購入先となっており、資金 需要も引き続き高水準を維持する見込み。

セミナー開催

増田氏は、同時に政投銀が地方銀行など金融機関全体での取り組み も支援し、将来的に日本初国産ジェット機、三菱リージョナルジェット (MRJ)のオールジャパン支援体制を構築したいとの考えを示した。 増田氏は「アジアの航空機ファイナンスのハブはシンガポールだが、日 本はこれに次ぐポジションをまず確立したい」として、金融機関の連携 と底上げが必要だと語った。

その一環として政投銀は17日、BNPパリバ銀行と共同で、地方銀 行などを中心に50を超える金融機関が参加する航空機ファイナンスのセ ミナーを都内で開催する。三菱航空やトルコ航空などのゲストを迎えた スピーチや実践的な航空ファイナンスのノウハウを公開する講演などを 予定。機材セミナーは今回で3度目。

地銀にとって航空ファイナンスは専門知識が必要で参入障壁が高か ったが、政投銀の旗振りによる協調融資に参加することで、投融資案件 の裾野を広げ、国債依存の度合いを引き下げることが可能となる。ま た、世界の航空会社などの顧客が、政投銀を通じて日本の潤沢な資金に 容易にアクセスできると認識してくれることは、政投銀の非価格競争力 を高めることにもなる。

航空機ファイナンス元年

政投銀は6月にBNPパリバと共同で、茨城の常陽銀行や岡山の中 国銀行など地銀8行を含む14機関による米航空機リース会社への総 額127億円の協調融資をまとめた。増田氏は「個別の案件としてはこれ までもいくつかあったが、大局的に見れば地銀にとっての航空ファイナ ンス元年と言える」との見方を示した。

増田氏は、こうした日系金融機関の航空機ファイナンスへの取り組 みの目標として、17年以後にMRJの販売が本格化することを見据え 「日本の金融業界が世界の航空機ファイナンスにとって魅力的な国であ り続けなければならない。国産初のジェット旅客機を販売金融の面でサ ポートできる態勢」を整えたいとした。

三菱重工業傘下の三菱航空が現在開発を進めているMRJは、15年 春の初飛行、17年春に初号機納入をそれぞれ予定している。これまで3 度の計画延期を経て、現在は最終段階となる型式証明取得と試験飛行に 向けて準備を進めると同時に量産体制の構築を急いでいる。

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