リーマンの呪い、消えず-ドイツ証券が中銀の新たな目標提案

米リーマン・ブラザーズ・ホールデ ィングスの破綻から6年以上がたつが、その後遺症はまだ顕著だ。

ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストに倣って、8つの指標に ついて幾つの国が危機前の水準を回復したかを検証してみよう。

先進国で最も回復が進んでいる米国ではインフレ調整済みとインフ レ調整前の両方で鉱工業生産、雇用、民間融資、国内総生産(GDP) が危機前の水準に戻っている。

その米国でも、コアインフレ率とマネーサプライ(通貨供給量)の 伸びはまだピークに戻らず、失業率も危機前の最低水準まで下がってい ない。英国は8つの指標のうち3つで危機前水準を回復したものの、ユ ーロ圏で戻ったのは名目GDPのみ。ギリシャとイタリア、スペイン、 ポルトガルではそれすら達成していない。

リーマン危機を境に世界経済の体制は変わったと、松岡氏は言う。 日本は失業率と融資、コアインフレ率が危機前水準にまで戻ったが、松 岡氏は雇用についてはパートタイム労働者が増えていることを挙げ、見 た目ほどには改善していないと指摘する。

さらに恐ろしいことに、日本では全ての指標が1997年のピークを大 きく下回っている。食品とエネルギー、最近の消費税率引き上げの影響 を除いた消費者物価指数(CPI)は今も、97年11月に比べ8%低い。 インフレ率で調整しない名目GDPは同年のピークを7.2%下回る。

これらを踏まえ松岡氏は10月31日のリポートで、日本銀行の政策は 黒田東彦総裁が2013年4月に量的緩和(QE)を導入するまで間違いだ らけだったと結論付けた。

日銀は10月に、インフレ率2%の目標を達成するため資産購入を拡 大することを決めた。松岡氏によれば、日銀は経済を立て直すためにも っと行動するべきだ。インフレの指標または名目GDPが1990年代の遅 い時期の水準に近づくまで緩和的金融政策を続けることを約束する水準 目標設定を同氏は提案する。

水準目標にはより長期のコミットメントが組み込まれるため。景気 拡大に向けた政府と中銀の強いコミットメントになるという。その結 果、日銀は16年または17年に入るまでマネタリーベースの拡大を続ける ことになる公算が大きいと同氏はみている。

リーマン後の世界を振り返って松岡氏は、水準目標という実験は米 国で密かに進行中かもしれないとした上で、量的緩和終了を決定しても ゼロ金利政策を続ける同国では、景気拡大が続き経済活動が過去のピー クを超え景気が十分に力強くなった後に金融政策を正常化しても、遅過 ぎではないという判断が優勢だったようだと指摘した。

原題:Lehman’s Curse Spurs Deutsche to Pitch New Central Bank Targets(抜粋)

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