【今週の債券】長期金利は低下余地探る、オペ増額の超長期需給が焦点

今週の債券市場で長期金利は低下余 地を探ると予想されている。日本銀行の国債買い入れオペで対象とな る25年超が増額されたことで、週内実施の20年債入札などを通じて、超 長期債の需給動向が焦点との見方が出ている。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが14日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.45-0.55%となった。

前週の長期金利は、消費再増税延期や衆院解散・総選挙の観測を背 景にした株高・円安進行で13日に一時0.535%と、1カ月半ぶりの高水 準を付けた。しかし、14日には日銀が国債買い入れオペで残存25年超 を1600億円と400億円増額したことで買いが膨らみ、0.465%まで低下す る場面があった。

パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、 「残存25年超の日銀買いオペ増額は超長期ゾーンの需給に与える影響が 大きい上、今月末は保有債券の年限長期化の買いも大きく、月末にかけ て需給がかなり締まりそうだ」と言う。

SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、日銀 の買い入れ政策がまだ完全な着地点を見い出せておらず、需給要因でイ ールドカーブが激変を続けていると指摘。「昨年の量的緩和導入時ほど の混乱は呈していないとはいえ、まだしばらくオペ要因での相場変動は 続くだろう」と言う。

18日に20年利付国債入札が実施される。前回の150回債と銘柄統合 するリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は1.4%に据え置か れる見込み。発行額は前回債と同額の1兆2000億円程度となる。新発20 年債利回りは日銀が追加金融緩和を決めた10月末の翌営業日となる今月 4日に一時1.17%と昨年4月以来の低水準を付けた。

日銀買いオペ効果

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、4日に付けた20年債 の1.17%は追加緩和の需給改善効果をほぼフルに織り込んでいる。14日 のオペで25年超が増額された真意が見えるまでは、日銀の姿勢に注意を 払わねばならないとしながらも、「この先は基本的に追加緩和の効果と いうよりも、民間投資家がデュレーション・リスクを積み増し日銀オペ の効果を助長するのか、逆にデュレーションを外す機会と捉え、オペを 相殺する方向へ動くのかが、相場水準を決めていく」とみる。

20日には流動性供給入札が予定されている。投資家需要の強い既発 国債を追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存5年超から15.5年以 下。発行額は4000億円程度となる。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は中心限月の12 月物、10年国債利回りは新発物の335回債。

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー

先物12月物145円95銭-146円55銭

10年国債利回り=0.45%-0.50%

「消費増税先送りと解散総選挙の織り込みはほぼ終了した。金利水 準からすると18日の20年債入札は警戒されるが、先週のポジション調整 でかなり警戒感が緩和された。もともと日銀の買い入れがある上、11月 はベンチマークの年限長期化があるため、需給が良い月でもある。株高 や円安は債券にとって警戒される材料だが、ポジションが軽くなってい るなかで需給要因から金利は低下基調になるとみている」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長

先物12月物145円90銭-146円50銭

10年国債利回り=0.45%-0.50%

「相場が下押しする場面があれば、超長期ゾーンを中心にしっかり 買っておくべきだ。20年債は入札前に若干調整が必要な上、入札後は日 銀会合などの関係で国債買いオペの空白時間が生じるため、売りが出る 可能性はある。もっとも、消費再増税の先送りなど相場のマイナス材料 は多いが、日銀の強力な買いオペが金利上昇を抑え込んでいる。短中期 債相場が盤石な中で10年債の0.5%台は買いの目線になっている」

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド

先物12月物146円10銭-146円60銭

10年国債利回り=0.45%-0.50%

「解散総選挙や消費増税延期ショックを織り込んで、再び債券需給 に焦点が当たる。これだけ利回り曲線がフラット化しているのは財政懸 念より、金利がなくなるリスクが意識されている証左だ。景気は再増税 による落ち込みはなくなるが、日銀が大量に買いを入れるのであれば、 金利は上がらない。ただ、20年債入札は注意が必要。20年ゾーンは絶対 金利水準の低さを含めてもう少し調整する余地があるとみている」

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物12月物145円50銭-146円50銭

10年国債利回り=0.45%-0.55%

「消費再増税の延期や衆院解散・総選挙の観測はほぼ織り込んだも よう。ただ、実際に正式決定となる場面では警戒が必要で、株高や一段 の円安進展となると債券は売られやすい。7-9月期の実質GDPにも 注目。足元では景気の先行き悲観論が優勢なだけに、年率2.5%超の成 長率が示されると債券にネガティブ。 20年債入札では急激に割高化し た30年債からの入れ替えに妙味があり、入札時の金利水準にかかわらず 需要は強いとみている」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎、酒井大輔 Editors: 崎浜秀磨, 山中 英典

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