弱気相場に懲りた米国株投資家、好景気でもディフェンシブ

2002年のノーベル経済学賞は、損失 を被ることによる心理的影響は同額の利益を得るより大きいというかな り基本的な理論に関するものだった。

言ってみれば、50ドルの損失を出した時の苦痛は50ドルの利益を上 げた喜びに勝る。インターネットバブル後の弱気相場による最後の激痛 に見舞われた02年は、ダニエル・カーネマン氏がノーベル賞を受賞する にはふさわしい年だった。株式市場はそれから5年が経過すると再び弱 気相場に突入し、投資家はまた痛手を負った。

米株式市場で直近の株価が過去最高値付近にとどまっているにもか かわらず、マイケル・ショール氏の12日の顧客向けリポートはカーネマ ン氏がまとめた「プロスペクト理論」を反映させたような内容と言えそ うだ。

マーケットフィールド・アセット・マネジメントの会長兼最高経営 責任者(CEO)のショール氏は「人々が恐れていたより悪い結果にな ることではなく、思っていたより良い結果になる状況が、われわれにと って最大の関心事だ」と記している。

S&P500種株価指数は半年ぶりの安値を付けてから4週間で10% 近く上昇し、年初来の上昇率が10%に達している。とはいえ、投資家が 将来的に最良のパフォーマンスを実現する「正しい」銘柄を購入してい るかどうかは疑問だ。過去の傷の痛みに懲りてリスク回避志向を強めて いるのだろうか。そうだとすれば今後の運用成績に水を差すことになら ないか。

ヘルスケアや公益事業

S&P500種では今年のリターン上位4業種のうち、ヘルスケアと 公益事業、生活必需品の3業種は景気の不透明感が強い時期に好まれる 「ディフェンシブ」銘柄と従来考えられてきたものだ。

ショール氏は「米経済がどの主要国経済の見通しよりも明らかに好 調であることにほとんど異論は出ないにもかかわらず、2014年の大半の 期間ではディフェンシブ銘柄に投資するポジションが、景気循環を重視 するスタンスより力強い運用成績を実現した」と分析した。

過去2回の不快な弱気相場で経験した痛みがなお記憶に新しいこと を踏まえると、なぜ暗い先行きの見通しが楽観的な予想より人々の心を 捉えるのかはプロスペクト理論などで説明できるかもしれない。損失の リスクと利益の可能性がそれぞれ同じ程度であっても、リスクの方が大 きく見えるのかもしれない。

原題:When the Worst Fear in Markets Is Investors With Too Much Fear(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE