増税先送り論の背後に97年の亡霊-景気後退二の舞回避の思惑

景気後退を招いた1997年の消費増税 を回避しようと安倍晋三政権は経済対策を打ち出してきたが、来週17日 に発表される7-9月の国内総生産(GDP)成長率は対策が不十分だ ったことを示すとの見方が強まっている。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値に よると、7-9月のGDPは前期比年率2.2%増。4-6月の7.1%減を 補うのには力不足の見通しだ。安倍首相の側近は、来年10月に予定され ている税率10%への引き上げは問題外とみている。

与党関係者によると、安倍政権は消費増税を2017年4月まで延期す ることを検討している。そのころには20年に予定されている東京五輪向 けの建設が活況を迎えており、経済成長を押し上げるとの読みだ。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは安倍首相が政 権維持のために経済でリスクを冒す余裕がないとし、消費増税は家計に 打撃を与えており、再引き上げ見送りは大きな安心感を呼ぶと評価。

補正予算

政府は4月の消費増税の影響を和らげるために5.5兆円の補正予算 を承認した。BNPパリバ証券によると、この支出によって7-9月の 経済は反発が見込めるものの、消費者支出は低迷し設備投資の伸び悩 み、円安でも輸出増が予想を下回っていることから景気の戻りは鈍い。

麻生太郎財務相は9月5日、来年10月に予定されている消費税率 の10%への引き上げを控え、景気の腰折れを回避するための経済対策の 可能性について、「補正予算も一つの方法だ」との見方を示した。10 月31日付読売新聞によると、政府は3兆-4兆円の追加支出を検討して いる。

NHKの世論調査によると、今月、安倍内閣の支持率は44%と、昨 年4月のピーク66%から大きく低下した。

菅義偉官房長官は12日の記者会見で、消費増税是非の判断について 「GDP1次、2次速報値を見極めたいことに変わりない」と述べた。

自民党の山本幸三衆院議員らは2015年10月からの消費税率の10%へ の引き上げを延期しても、財政健全化目標を達成した上でなお最大4.6 兆円の経済対策に充てる財源があるとの独自の試算をまとめた。

--取材協力:Chikako Mogi.

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