債券続落、消費増税先送り観測が重し-長期金利は1カ月ぶり0.5%台

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債券相場は続落。将来の財政懸念に つながりかねない消費再増税の先送り観測が前日に引き続き相場の重し となった。長期金利は1カ月ぶりに0.5%台に乗せた。

この日は朝方から債券売りが先行。前日の外国為替市場で円が対ド ルで7年ぶり安値を付けた上、米国市場で主要株価指数が最高値を更新 したことなどが相場の一段の逆風となり、長期の先物と現物はともに安 く始まった。

長期国債先物市場で中心限月の12月物は前日比22銭安の146円03銭 で開始し、直後に1カ月ぶりに146円を割り込んだ。午後に入り下げ幅 を縮める場面もあったが、取引終了にかけて売りが再び優勢となり、一 時は145円80銭と日中取引で10月1日以来の安値まで下落。結局は40銭 安の145円85銭で引けた。

RBS証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは、「さすがにこ れだけ象徴的な政策を撤回するというなら、短期的にはこれくらいのベ アスティープ化は仕方がない」と指摘。ただ、「需給面だけを見れば、 消費増税の先送り観測だけではベアスティープ化は中長期的には続かな い。ひと段落すれば、日銀の買い入れが金利低下圧力を及ぼす構図に戻 るだろう」と話した。株高・円安にしても、「追加緩和の効果は残存し ていると思うが、消費増税の延期を材料にした分は初期反応に過ぎず、 限定的だろう」とみる。

日本相互証券によると、現物債市場で長期金利の指標となる新発10 年物国債の335回債利回りは、前日午後3時時点の引値に比べて2ベー シスポイント(bp)高い0.50%で開始。しばらくは0.51%を中心にもみ合 った後、午後の取引終盤にかけて10月3日以来の高水準となる0.525% まで上昇した。20年物の150回債利回りは1.30%、30年物の44回債利回 りは一時1.545%と、ともに10月31日以来の高水準を付けた。

買い方は様子見

JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストは、「消費増税先 送りの思惑がにわかに広がり、市場は前日午後から一斉に売りで対応」 とした上で、「政治情勢の見極め困難のため買い方は様子見」をしてい ると述べた。

12日付の産経新聞は、安倍晋三首相は月内に衆院を解散し、12月中 に総選挙を断行する意向を固めたと報じた。消費税率10%への再引き上 げについては1年半後の17年4月に延期する方針を決定したという。

一方、この日の日銀の買い入れオペでは、債券の売り圧力が弱いこ とを示され、相場の下げ幅が縮小する場面があった。総額7600億円の長 期国債買い入れオペ3本の結果によると、残存期間5年超10年以下の応 札倍率は2.25倍と前回の2.83倍から低下。10年超25年以下は1.57倍、25 年超は2.60倍と、いずれも今年6月のオペ運用方針変更で超長期ゾーン の区分を細分化してからの最低水準だ。

大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャーは、衆 院解散や選挙日程も報道される中、短期的には増税回避が日本経済にプ ラスとの見方につながっていると指摘。「債券には間接的に財政的な懸 念があるが、日銀オペ結果が示すように、現在の水準では売り急ぐ必要 はないということではないか」と述べていた。

財務省は13日午前に5年利付国債入札を実施する。前回入札された 5年物の121回債利回りはこの日に0.165%と新発債としては10月1日以 来の水準まで上昇した。表面利率(クーポン)は前回債より0.1ポイン ト高い0.2%か、0.1%となる見込み。発行額は前回債と同額の2兆7000 億円程度となっている。

--取材協力:山中英典、赤間信行.

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