タカタ会長、姿見せず、リコール問題の一族企業の混迷深める

タカタ製エアバッグの不具合による 自動車のリコール問題が長期化の様相を呈している。経営トップの高田 重久会長兼最高経営責任者(CEO)はメディアの前に姿を現さないま まだ。

エアバッグの不具合をめぐっては死者4人を含め、多数の死傷事故 との関連性が指摘され、米当局や自動車メーカーなども調査を進めてい る。こうした中で問題の中心にあるタカタの経営トップが自らの肉声で 説明していないことが、リコール問題の詳細や今後の展望を見通しにく くしている一因との指摘もある。

タカタは6日に4-9月決算を東証で発表したが、出席者は高田会 長でなく、経理・財務本部長を務める野村洋一郎執行役員だった。タカ タは13日にも都内でアナリスト向け説明会を開催する予定だが、広報担 当の菱川豊裕氏への11日時点の電話取材によると、出席者は野村氏とし ていた。高田会長は6月の株主総会に出席以降、記者会見の場などに姿 を見せていない。

高田会長からは現時点で、6月10月に簡単な説明と謝罪を掲載し た声明の発表にとどまっている。6月はトヨタ自動車やホンダなどが大 規模リコールに踏み切り、10月は米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA)が速やかに部品を交換する必要がある対象台数を780万 台に引き上げており、いずれもそれを受けての対応だった。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之最 高投資責任者は、こうした深刻な状況の中でCEOが沈黙を続けるのは 良くないと指摘、「分かっている範囲のことを言うのは会社としての義 務」と話した。自らが保有していたタカタ株は売却済みとした上で、 「売れるときに売れという雰囲気になれば株価はもっと下がる可能性も ある」と話した。

株価は62%下落

ブルームバーグ・ニュースは重久氏やステファン・ストッカー社長 への取材を要請してきたが、断られている。直近のインタビュー要請に 対して広報担当の高井規久子氏は、重久氏らがリコール問題の対応で 「多忙を極めている」との理由で断った。

タカタ製エアバッグの不具合に伴う車両リコールは世界で昨年と今 年にそれぞれ数百万台規模となった。対象車両は今後さらにに拡大する 可能性もある。

7日にはタカタが2004年にエアバッグの破裂が伝えられた後、回収 したエアバッグをテストし、検査技師にテストデータの除去などを指示 していたとの元従業員2人の発言をニューヨーク・タイムズ紙が報じ、 同社株価はで3営業日で計25%の急落。11日の終値は1143円で、年初来 では62%の下落となっている。

企業へのコンプライアンス研修などを実施する会社役員育成機構の ニコラス・ベネシュ代表理事は、人の命が失われ、自社製品の不具合と の関連性が疑われる場合、経営幹部が公然とした対応を迅速に取る必要 があると話す。

一族が株の大半を保有

会社ウェブサイトによると、タカタは1933年に高田武三氏が滋賀県 彦根市で創業し、高田工場を前身とする。これを継いだ高田重一郎氏 は74年に社長に就任し、業務の近代化や国際化を推進。重一郎氏は2011 年に亡くなり、重久氏はその長男にあたる。

タカタは06年に東京証券取引所第1部へ上場したが、高田一族が株 式の大半を事実上、保有している。14年3月末の大株主名簿によると、 TKJの52.1%に重久氏と母親の暁子氏の保有分を加えると計57.1%に 達し、TKJは重久氏と弟の弘久氏、暁子氏が役員に名を連ねる。

ブルームバーグ・ニュースは登録上の住所に重久氏と暁子氏を訪ね たが、面会することはできなかった。

SMBC日興証券は11日、タカタの投資評価と目標株価の付与を一 時停止すると発表。一連のリコール問題で業績予想が困難になっている ため。状況が落ち着き、業績予想が可能になるなどした段階で、速やか に投資評価と目標株価の付与を再開する方針とした。

メリルリンチ日本証券の上田祐介チーフクレジットストラテジスト は、問題を引き起こした当事者が表に出てきていないとし、彼らは状況 をまったく把握できていなかったと話した。

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