永田町に解散風、消費増税延期で安倍政権-準備に走る議員も

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安倍晋三首相が2015年10月からの消 費税率の10%への引き上げを先送りする判断をした場合、早期の衆院解 散に踏み切るのではとの観測が与野党に浮上している。11日付の読売新 聞朝刊は早ければ18日前後に解散を表明し、衆院選は12月14日投開票を 軸に調整と報道。永田町に解散風が吹き始めた。

谷垣禎一自民幹事長は7日の記者会見で「われわれの世界は常在戦 場であるこということも事実」と発言。自民党の笹川博義衆院議員は11 日の取材に対し、解散判断は「総理がすること」としながらも、消費税 再増税先送りの是非は「国民の審判を仰ぐという大義はある」と述べ、 年内解散に備えた準備に入っていることを明らかにした。複数の自民衆 院議員も準備を開始したことを匿名で明かした。

安倍首相はこれまで7-9月期の国内総生産(GDP)などを参考 に経済情勢を見極めた上で消費増税を年内に判断すると発言してきた が、日銀は10月31日に発表した展望リポートで14年度の成長率見通し を1.0%増から0.5%増に下方修正した。消費増税先送りを決断すれ ば、12年に民主、自民、公明3党が合意した計画の変更になる。内閣府 は17日に7-9月GDPの第1次速報、12月8日に第2次速報を発表す る。

政治評論家の浅川博忠氏は電話取材に対し、早期解散情報を「野党 側へのけん制」と見る。現時点では来週解散の可能性を30%、来年の通 常国会終了後の7月解散が70%との見方を示した。

野党の反応

民主党の海江田万里代表は10日の記者会見で、「安倍総理、解散お やりになるんならどうぞ、解散をやってください。私たちは正面から受 けて立ちます」と表明。候補者の選定作業を急ぐ方針を明らかにした。 仮に首相が民主党政権下で決まった増税日程の先送りを決断した場合の 対応については「安倍総理が判断をすればそれに対する私たちの党の見 解を明らかにします」と明言しなかった。

維新の党の江田憲司共同代表は9日、フジテレビの番組で、仮に増 税先送りを決断するならば「これまでの方針の大転換だから、やはり国 民の信を問うべきだ」と述べている。

2012年の衆院選で圧勝した自民、公明両党は任期4年の衆院で現 在、定数の3分の2超に当たる320議席超を確保、残り任期も2年近く ある。現有勢力の確保は高いハードルだが、野党側の選挙準備が十分に 整わないうちに選挙に突入できるメリットもある。経済政策や集団的自 衛権行使などの主要政策で民主、維新、みんななど野党各党は主張の隔 たりも大きい。

読売新聞は11日付の朝刊で、首相が18日前後に解散を表明し、19日 ごろに解散する案が浮上しており、衆院選は「12月2日公示・14日投開 票」を軸に調整、「9日公示・21日投開票」の案もあると報じた。 NHKニュースによると、石破茂地方創生担当相は9日の講演で「いつ 解散があってもおかしくない」と発言、茂木敏充自民選対委員長も「選 挙準備を推進する」と10日に発言している。

大義名分

ブルームバーグ・ニュースが10月31日から11月5日にかけて実施し た調査では、エコノミスト15人のうち12人が安倍首相は消費税の税率を 計画通りに来年引き上げると予想していた。

菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、増税判断と衆院解散の関 係について「先送りした場合とか、しない場合とかそこはまったく検討 もしていない」と述べている。

自民党の小野寺五典政調会長代理は9日出演したフジテレビの番組 で、解散に踏み切るには「大義名分が何かということがとても大事」と 指摘。仮に消費増税を先送りするなら、「一つの大きな政策の転換」と なり、解散に踏み切る理由として「選択肢」になり得るとの見方を示し た。

「何ら決めていない」

安倍首相は11日、APEC首脳会議後に北京で会見し、「解散のタ イミングについては、私は何ら決めていない」と述べた。国内には憶測 に基づく報道もあると指摘した上で、「私自身、解散について言及した ことは一度もない」と話した。

山本幸三衆院議員は11日、消費増税延期に関する安倍首相への提言 を18日にまとめる方針を明らかにした。同氏が主宰する「アベノミクス を成功させる会」の会合後、記者団に語った。当初は月内のとりまとめ を目指していたが、早期解散の報道を受け、日程を前倒しすることにし たという。

日本経済団体連合会の榊原定征会長は11日の麻生太郎財務相との懇 談会後、解散総選挙をする時期でないと記者団に指摘した。山積してい る政策課題の遂行に専念してもらいたいと話した。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは11日付のリ ポートで、17日に発表の7-9月期GDP第1次速報の時点で、消費再 増税をどうするかの問題は安倍首相の中で、「おそらく、ほとんど決着 がついてしまうだろう」と予想。市場予想値ではかなり弱く、実際にそ うなる場合、予定通りの再増税には「極めて強い逆風だ」との考えを示 した。再増税は先送りされると以前から予想していたとしている。

--取材協力:伊藤小巻.

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