【日本株週間展望】5カ月ぶり4週続伸、円安加速し業績期待

11月2週(10-14日)の日本株は、 日経平均株価が5カ月ぶりに4週続伸しそうだ。米国経済統計の堅調が 続く一方、日本銀行の追加金融緩和策を材料に為替の円安進行が止まら ない。急騰後の過熱感で上昇ピッチは鈍りつつも、電機や自動車など輸 出セクターを中心に業績上振れを見込む買いが続く。

アバディーン投信投資顧問のインベストメント・マネジャー、窪田 慶太氏は「為替が動いている中で、グローバル企業を中心に業績相場と なってきた」と指摘。5日に2015年3月期の業績計画を上方修正したト ヨタ自動車を例に、今期のドル・円想定は1ドル=104円で、「まだま だ為替面からのアップサイドがある」とみる。

第1週の日経平均は、週間で2.8%高の1万6880円38銭と3週続 伸。10月31日の日銀緩和、年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)の内外株式運用比率の引き上げ方針を受けた急騰劇が続 き、4日の取引で1万7000円を回復、ドル・円は6日に1ドル=115円 に乗せ、ともに7年ぶりの株高、円安水準を付けた。ただ、投資家の短 期売買コストを示す25日移動平均線からの上方乖離(かいり)率は目先 過熱を示す5%を大きく超えており、スピード違反への警戒で後半は伸 び悩んだ。

自動車大手のトヨタは、今期の連結純利益計画を1兆7800億円から 2兆円に上方修正した。円安や原価改善策が寄与し、当初の前期比2% 減益が1割近い増益に転換、連続最高益の見通しだ。三菱UFJモルガ ン・スタンレー証券の調べで東証1部上場の3月期決算企業(全産業・ 除く金融)の今期経常利益計画は前期比7.1%増。電機や輸送用機器、 鉄鋼を中心に9月末時点から2ポイント強上振れたが、上期の14%増や 進捗(しんちょく)率の53%と比較し、上積みの可能性を残す。

1カ月半の記憶

SMBC日興証券の株式調査部部長、西広市氏は、「昨年4月4日 の日銀の異次元緩和の際、日本株は5月22日までノンストップで上昇し た。円安による業績の上振れ期待も強く、戻り相場が継続する可能性が 高い」と言う。

マネタリーベースを2年で2倍にするとした日銀の量的・質的緩和 の決定を受けた当時、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前 議長が量的緩和の段階的縮小を示唆したことで急落するまでの約1カ月 半で日経平均は3265円、26%上昇し、ドル・円は10円円安に振れた。今 回のケースに当てはめると、起点となる数字は10月30日の1万5658円、 1ドル=109円、高値形成時期は12月中旬となる。

需給面からも株高、円安に振れる余地がある。裁定取引の買い残 は、日銀決定を受けた10月最終週に急増したが、2兆8700億円と昨年5 月ピークの4兆3100億円、ことし9月のピーク3兆6400億円を大きく下 回っている。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、ファン ド勢の円売りポジションは日銀決定前の10月28日時点で6万7399枚。昨 秋、ことし1月や9月の10万枚超えと比べると、水準は低い。

一方、12月中旬は安倍晋三首相が消費税率の10%への引き上げの是 非を判断する時期だ。菅義偉官房長官は5日の会見で、「安倍政権は経 済最優先、デフレ脱却と財政再建の二兎を追って二兎を得る政権。11 月、12月に出るデータを見極めて年内に判断するというのが公式見解 だ」と強調した。

アバディーンの窪田氏は、「消費税の再増税は予定通り行われよ う。物価も上がる中で恩恵を受ける人、受けない人が今後二極化してい く」と予想。裏返せば、首相判断まで国内景気にダメージを及ぼす材料 は出にくく、いちよし証券投資情報部長の大塚俊一氏は「12月までは上 昇基調が続くのではないか」とみている。

JPX日経400銘柄

日銀の追加緩和を「良いか悪いかは別として、大きなサプライズと なった」と振り返るのはJPモルガン・アセット・マネジメントのグロ ーバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏だ。足元でインフレ 率に鈍化の兆しがあり、「日銀が追い込まれるのは時間の問題だった。 その前に先手を打った」と黒田東彦総裁の心中を察した。

重見氏は、今回の緩和メニューの中で最も重要なのはJPX日経イ ンデックス400に連動する上場投資信託(ETF)を買い入れる点だ、 と指摘する。株主資本利益率(ROE)を重視した同指数の選定から漏 れている企業が資本効率を高める動きを強めており、「日本企業全体の 実力底上げにつながる可能性がある」と言う。

三菱モルガン証の投資情報部長、藤戸則弘氏も「指数への関心が高 まることで、構成銘柄への注目度もおのずから増す」としている。同証 の調査では、JPX日経400銘柄で今期2桁の営業増益を計画、上期時 点の進捗率が5割を超す企業としてカルビー、三菱ケミカルホールディ ングス、マキタ、日本電産、オムロン、村田製作所、シマノ、日立ハイ テクノロジーズ、ANAホールディングス、東宝などを挙げた。

第2週の日本株に影響を与えそうな材料は、国内では決算発表が続 き、10日に清水建設、11日に大林組、ダイキン工業、13日に三井住友フ ィナンシャルグループ、14日に三菱UFJフィナンシャル・グループ、 第一生命保険など建設、金融業種が多い。14日は株価指数オプション11 月限の特別清算値(SQ)算出だ。海外では14日にユーロ圏の域内総生 産(GDP)、米国の小売売上高が公表予定。10、11日は北京でアジア 太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議がある。

--取材協力:長谷川敏郎.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE