アジアでは政府主導のLNG市場改革が必要-IEAが報告書

国際エネルギー機関(IEA)は、 アジアの需要家が液化天然ガス(LNG)を安価に調達するためには、 政府主導で柔軟性や流動性を欠いた市場を改革する必要あると訴えた。

IEAは、きょう都内で開催されたLNG産消会議で「グローバル 市場におけるアジアのLNG戦略」と題した報告書を発表。高いLNG の価格は、アジアの消費国にとって受け入れ難くなっており、規制でガ ス小売価格が低く抑えられている国で「より大きな問題となっている」 と指摘した。

日本と韓国で世界のLNGの取引量の約半分を占めているほか、中 国やインドも輸入を増やしており、アジア消費国の存在感は増してい る。一方で、アジア諸国が購入するLNG価格は、欧州向けのLNGや 米国内の天然ガス価格と比べて割高になっている。

IEAはこの報告書で、アジア域内の需給を反映した適切なスポッ ト市場価格がないことや、原油価格に連動したLNGの価格決定方式が 採用されていること、売買契約の中で購入したLNGの仕向地が限定さ れてしまっていることなどがアジアの割高な価格の原因だと指摘。

割高な価格への対応策として、売買契約の更新や新規契約を締結す る際に、今後アジアで流動性のあるスポット市場価格が形成されれば LNGの価格決定方式に盛り込むことを提案。米国のヘンリーハブ先物 市場価格の採用や、原油価格に連動する既存の方式を維持する場合に は、急激な価格変動を緩和できるような算定式にすることも提案した。

3回目の産消会議

経済産業省は、産ガス国とアジアの消費国の硬直的な売買契約の解 消を狙う対話の場としてLNG産消会議を2012年から開催。IEAは、 米国など今後新たに増える供給源については、米国のヘンリーハブ先物 市場連動の価格決定方式や、購入したLNGの向け先を制限する条項の ない契約になるとし、アジアの市場に「風穴が空けられることになる可 能性がある」との見方を示した。

国内では経産省がLNG先物を東京商品取引所に上場することを計 画しており、先物市場の基準となる価格の形成を目指し、LNGの店頭 市場(OTC)取引も開始した。宮沢洋一経産相は、産商会議の開会挨 拶で「LNG市場の柔軟性が高まる中、日本は将来的にアジアにおける LNGハブの創設を推進していく」と訴え、店頭市場の開設や4月に開 始したスポットのLNG輸入価格公表など新たな取り組みを紹介した。

IEAは、この報告書でアジアのLNG市場の改革には、ガス統制 価格の撤廃や、輸入基地やタンクなどインフラ設備の第三者利用の促進 などが必要だと指摘。こういった面においては、複数のユーザーが利用 するLNG基地を建設したシンガポールが一歩リードしているほか、日 本や中国でも進展があるとした。

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