日銀追加緩和後のアナリスト懇談会、延々2時間-質問相次ぐ

日本銀行が市場の意表を突く追加金 融緩和に踏み切った数時間後に行われたアナリスト懇談会。約50人が参 加した会合は通常の2倍の2時間も続き、市場とのコミュニケーション をめぐる質問が相次いだ。

同会合に出席した関係者によると、本来は日銀の経済・物価情勢の 展望(展望リポート)に関するものだが、黒田東彦総裁や他の審議委員 の緩和決定前の市場との対話や日銀の国債購入計画などについて質問が 相次いだ。

黒田総裁は追加緩和で意表を突く意図はなかったと説明したが、株 式市場は急騰し急激な円安になる引き金となった。市場との対話を重視 する黒田総裁にとって、市場参加者からの信頼を失うリスクを伴うもの だった。

RBS証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは黒田総裁の発言 を真に受けるべきではないとし、3日前の発言と全く違う見解を明らか にしたと述べた。総裁の発言に耳を傾けるより、価格や日銀の物価目標 とのかい離に注目すべきだとの考えを示した。

日銀は31日のアナリスト懇談会について、すぐにはコメントするこ とはできないとした。

10月31日の追加緩和決定を受けて、TOPIXは一時、4.3%上昇 した。上げ幅は1年4カ月ぶりの大きさだった。円は対ドルで112.48円 まで下落し、2007年12月以来の安値を付けた。ブルームバーグ・ニュー スの事前サーベイで追加緩和を予測したのは32人中3人だけだった。

最長の会合

アナリスト懇談会は黒田総裁が就任した13年3月以降で最長となっ た。昨年4月の異次元の金融緩和発表直後の会合時間を上回った。先週 の会合では通常とは違い、日銀側から打ち切ることはなかった。

同会合には内田眞一企画局長、正木一博政策企画課長が出席した。 日銀は通常四半期ごとに出す中間見通しや展望リポート後にアナリスト 懇談会を開いている。

会合に出席したアナリストは、昨年4月の緩和時には前例のない大 規模なものになると予測できたが、今回の緩和では事前に、黒田総裁は 必要ならばちゅうちょなく金融政策を調整する方針を表明する一方で、 経済に対する楽観論を繰り返すばかりでほとんど手がかりがなかったと 言う。

黒田総裁は、今回の緩和決定に至る数カ月間、「景気は基調的には 緩やかな回復を続けている」、「消費増税前の需要の反動減も和らぎつ つある」との見解を繰り返し、それは緩和決定3日前の国会答弁でも同 様だった。

日銀の信認

黒田総裁は10月31日の記者会見で、追加緩和に踏み切った背景につ いて「需要面の弱めの動きや原油価格の下落は、物価の下押し要因とし て作用している」と指摘。「これまで着実に進んできたデフレマインド の転換が遅延するリスクがある」ことを挙げた。

ジャパンマクロアドバイザーズのチーフエコノミスト、大久保琢史 氏は日銀には市場の意表を突くつもりはなかっただろうとしながらも、 経済に対する強気のスタンスはやや行き過ぎで、市場からみると率直に は見えなかったと指摘。

大久保氏は、さらに大きな問題として中央銀行が正確に経済を捉え ているか疑念を抱かせると信認を傷つけかねず、先行きの期待について ボラティリティーが増幅することに懸念を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE