米FRB:大恐慌後、1937年の失策再現恐れる-市場にも懸念

米連邦準備制度理事会(FRB)当 局者が前例のない景気刺激策の解除に向けた工程表を練る上で、大きな 悩みの種がある。それは「1937年の亡霊」の影だ。

米経済が大恐慌から立ち直ったその年、金融当局は金融引き締めに 踏み切ったものの、その後時期尚早だったことが分かり、リセッション (景気後退)に陥る中で後戻りを余儀なくされた。

米金融当局が同様の過ちを繰り返す危険性は、ニューヨーク連銀が 9月の連邦公開市場委員会(FOMC)の前に米プライマリーディーラ ー(政府証券公認ディーラー)22社を対象に実施した調査結果でも浮き 彫りとなった。

金融当局が9月8日に調査結果を受け取り、10月9日に公表したも ので、2015年の利上げを見込む金融当局が2年以内に再びゼロ金利政策 への回帰を強いられる確率が20%あるとされた。

プライマリーディーラーの1つ、TDセキュリティーズUSAの米 金利・経済調査責任者、エリック・グリーン氏は「金融当局者が後戻り しなければならなくなる確率を考えると、それは不快なほど高い。それ は現在の景気循環と回復が典型的なものではないからだ」と語った。

ニューヨーク連銀でエコノミストを務めたグリーン氏は、そもそも 同連銀が調査項目でゼロ金利回帰の可能性について質問したこと自体、 当局者が引き締め策に疑念を抱いていることを示すものだと指摘した。

「最大のリスク」

ニューヨーク連銀のダドリー総裁とシカゴ連銀のエバンス総裁も最 近、08年からゼロ金利政策を取ってきた米金融当局が、フェデラルファ ンド(FF)金利の誘導目標引き上げの準備を進めるに当たって慎重を 期す理由に37年の教訓を挙げている。

エバンス総裁は9月24日、ワシントンでの講演で「われわれが現在 直面する最大のリスクは、性急な金融引き締めを図ることだ」とした上 で、「特に1937年の米国の経験は金融史の専門家にとって古典的な例 だ」と話した。

また、ダドリー総裁も同月22日、ニューヨークで開かれたブルーム バーグ・マーケッツ・モスト・インフルエンシャル・サミットでの質疑 応答で、30年代の性急な引き締めは「ひどい失敗だったことが明らかと なっており、実際、『37年の誤り』と位置付けられている」と発言し た。

9月16、17両日のFOMCでは、先物市場が織り込んでいる先行き の利上げの道筋が、なぜ金融当局者自身の予測を下回っているのかが議 論された。

議事録によれば、考えられる説明の1つとされたのが、最初の利上 げから2年以内にFF金利の誘導目標がゼロに戻る「かなりの確率」が あるとトレーダーがみているのではないかというものだった。

野村ホールディングスの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベ ス氏は、先物市場の取引は「完全な利上げサイクルに至らず」、向こう 数年間に政策金利が「引き下げられる可能性さえある」点を反映してい るとの見方を示した。

他国の動向も念頭か

ダドリー、エバンス両総裁らが緩和解除に慎重に臨みたいとする背 景には、他の主要中央銀行の動向もある。先週政策金利をゼロに引き下 げたスウェーデン中銀の場合、10、11両年に利上げしたものの、1年足 らずの間に3回目の緩和となった。

このような例はスウェーデン中銀だけでない。欧州中央銀行 (ECB)はインフレ対策として08年に1回、11年に2度の利上げを実 施したが、ユーロ圏は今やリセッションのリスクに直面。2000年に利上 げした日銀の場合、デフレに見舞われて半年後に利下げすることとなっ た。

だが、米利上げ後に政策金利がゼロに戻されるリスクを市場は大げ さにとらえているのではないかと、RBCキャピタル・マーケッツの米 金利戦略責任者、マイケル・クロハティ氏(ニューヨーク在勤)は見 る。

クロハティ氏は米金融当局者がいったん利上げした後、「Uターン するのではなく、長期にわたりそこにとどまる」というシナリオをたど る可能性がより大きいと指摘した。

原題:Fed Concern With Repeat of 1937 Policy Blunder Echoed by Markets(抜粋)

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