日銀のJPX日経400買い、ROEの一段向上へ圧力-先物意識

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日本銀行が上場投資信託(ETF) の買い入れ対象にJPX日経インデックス400を追加し、日本企業に対 する株主資本利益率(ROE)の向上圧力が一層強まるとの見方が市場 関係者の間で広がっている。

JPX日経400はことし1月から算出を開始。銘柄選定に際し3年 平均ROEや3年累積営業利益など経営効率、収益性が重視されてい る。安倍政権が成長戦略の中で企業の稼ぐ力の強化を打ち出す中、日本 の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は 4月、パッシブ運用のインデックスの1つに加えた。

企業の間でも同指数を意識した経営変革の動きが出てきており、非 採用企業の金属加工機械メーカー、アマダは5月に2016年3月期までの 資本政策として、純利益の半分程度を配当、残りを自社株買いに充てる 総還元性向100%の方針を打ち出した。

三菱UFJ投信の宮崎高志戦略運用部長は、「GPIFに続き日銀 がJPX日経インデックス400を対象とすることは、政府がROEを向 上させるプレッシャーを投資家や企業サイドにかけ続けるということの 表れだ」と話す。

JPX日経400銘柄の3年平均ROEは11.2%と、TOPIX の6.8%より高い。「JPX日経400から漏れた企業はROEを高めよう とする結果、日本株は上昇圧力を受けやすい」と宮崎氏はみている。

日銀は10月31日、リスク・プレミアムの縮小を促す観点から実施し ている資産買い入れについて、ETFは保有残高が年間3兆円に相当す るペースで増加するように変更。従来のペースは1兆円、買い入れ対象 はTOPIXと日経平均株価だった。日本取引所グループによると、 JPX日経400に連動するETF4本と公募投信の総資産規模は2953億 円(10月30日時点)となっている。11月25日からは、JPX日経400先 物の取引も始まる

25日に先物始動、象徴指数の防戦も

楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは、 今回の日銀決定が先物の取引開始時期に合わせたものと推測。「日経平 均やTOPIXは先物の影響を受けやすくなっているが、それらに先物 で売りを仕掛けられた際にも、指数を支えることができる」と指摘す る。一方、JPX日経400先物が始動し、「先物で売りを仕掛けられた 場合、従来の日銀には指数を支える手段はなかった」と同氏は言う。

アベノミクスはコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革を柱と しており、「その象徴であるJPX日経400が売りターゲットとされる と、株式市場全体に悪影響を与えてしまう」と土信田氏。このため、 「運用の幅をもたせるため、日銀が対応しておかなければならないと判 断したのだろう」との見方を示している。

JPX日経400は、日銀決定を受けた10月31日に4.5%高、3連休明 けの11月4日には2.8%高となり、いずれもTOPIXの上昇率 (4.3%、2.6%)を上回った。31日には、JPX日経400のETFで純 資産総額が最も多い「NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上 場投信」の売買が前日比5.2倍と急増。4日は35万8432口と1月の設定 来で最高となった。

SMBC日興証券株式調査部の西広市部長は、「日銀も買うという ことでGPIFとの相乗効果が大きくなり、市場には他の機関投資家や 海外ファンドも同指数に向かうという期待がある」としている

CLSAの日本担当ストラテジスト、ニコラス・スミス氏はこれま で、JPX日経400は企業規模を重視するあまり、ROEの低い企業が 入る可能性があり、データ期間も3年と短く、株価が割高な時に指数に 入りやすいとの認識を示していた。しかしそのスミス氏も、今では「ア マダのように企業がインデックスに入るため、自社株買いなどで企業行 動を変えるのは良いことしかない」と話す。

8月29日に実施された初の銘柄入れ替えでは、パナソニックやセイ コーエプソン、カシオ計算機、リコー、マツダ、ミネベアなどが新規採 用され、ソニーや東京エレクトロン、ワタミ、スカイマーク、レンゴー などが外れた。

きょう午前のJPX日経400は前日比0.3%高の12559.36で取引を開 始し、6日続伸の動き。5日には、12523.76と終値ベースで算出以来の 最高値を付けた。

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