【今日のチャート】日銀の異次元緩和第2弾、円キャリー取引優位に

ドルと円の調達コストの差が拡大す るとの見通しから、外国為替市場では、円キャリートレード(低金利の 円で調達した資金を高金利通貨などに投資する取引)に有利な環境とな っている。

この背景には、日本銀行が予想外の追加緩和に踏み切る一方で、米 連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和(QE)を終了するなど、両国 の金融政策の方向性の違いが鮮明となったことがある。市場関係者から は円には一段の下落圧力がかかるとの指摘が聞かれる。

今日のチャートは、上段にドル建てと円建ての3カ月物LIBOR (ロンドン銀行間取引金利)差と、円の対ドル相場の推移を示した。下 段のチャートは円で資金を調達してドルに投資したキャリー取引のリタ ーンの推移となっている。LIBOR格差は10月23日に12.574ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)と、2013年2月以来の水準まで拡大 。ドル・円相場は3日に一時1ドル=114円22銭と、07年12月以来の円 安値を付けている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラ テジストは、短期ファンディングコストのベンチマークとなる3カ月物 LIBORでみると、足元で「ドルは円の2倍の水準になっている」と し、米国の利上げが開始されれば、10倍近くに拡大する可能性もあると 指摘した。そうなれば、「ドル・キャリーで円買いのポジションは持て なくなる」と言う。

日銀は10月31日の金融政策決定会合で、市場の予想に反して長期国 債の買い入れ拡大などの追加緩和を決定した。同日に発表した経済・物 価情勢の展望(展望リポート)では、生鮮食品を除いた消費者物価(コ アCPI、消費増税の影響除く)の前年比の政策委員見通し(中央値) は14年度が1.2%上昇、15年度が1.7%上昇といずれも下方修正された。

昨年4月には、長期国債の大量購入を柱とする量的・質的金融緩和 を導入し、CPI前年比2%の「物価安定目標」を、2年程度の期間を 念頭に置いて、できるだけ早期に実現する表明していた。

FRBは、10月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、資産購入プ ログラムの終了を決定した。植野氏は、米国が順調にゼロ金利解除に向 かっている一方で、日銀は黒田東彦総裁が物価目標の2%達成を宣言す るまでは、緩和観測が続くことが確認されたと指摘。「ドルと円の短期 ファンディングコストの差はさらに拡大していく」として、来年末には 117円までドル高・円安が進むとの見通しを示した。

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