コンテンツにスキップする

あなたの愛犬を1070万円でもう1匹-世界初のクローン工場

新たに舗装された道路の先にある新 築の建物の中に、使われたことのないガラス張りの手術室がある。そこ で、黄禹錫(ファン・ウソク)博士は紛れ込んできたハエを電気ハエた たき器で撃退する。ブルーの手術着には「スアム生命工学研究院」のロ ゴ。博士が設立した韓国の研究企業だ。黄博士は今、中国・山東省の威 海市に8日間の突貫工事で建設した仮施設で最終チェックをしている。 ここで数時間内に、中国で初のクローン犬の出産が行われる。

当初、お産はソウルにあるスアムの本社で行われることになってい た。ここは10万ドル(約1070万円)でクローン犬を生まれさせてくれる 世界で唯一の施設だ。ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌10月27日号 が報じている。

黄博士(61)が率いるチームは2005年に初のクローン犬をつくり出 すことに成功。以来これまでに550匹以上のクローン犬を誕生させてい る。複雑なプロセスの効率を高め、今では顧客がペットの健康な細胞組 織を持って来れば、その愛犬と全く同じ遺伝子を持つ複製を生み出すこ とを確約できるまでになった。

今回のお産は特別で、最後の瞬間になって中国当局が同国内での出 産を求めた。というのも、生まれてくるのはチベタン・マスティフとい う希少種の子犬たちで、中国では飼い主のステータスを高めることでほ ぼ並ぶもののない人気犬。しかも、細胞のドナーは賞を取った8歳の名 犬で、飼い主は昨年500万ドルでの買い取り提案を断った。その程度は 1回の繁殖で稼げる。金色の子犬1匹は今年260万ドルで売れた。血筋 の良いチベタン・マスティフは希少で、マンションより高価だ。

「魔法だ」

それに加え、実は子犬たちの誕生は、スアムと中国のバイオテクノ ロジー企業、ボヤライフ(博雅幹細胞集団)との提携を発表する舞台で もある。中国当局が国内でのお産を望んだのはそのためだ。来年の早い 時期には、両社の科学者たちが共同で運営する中国初の商業的クローン 生産施設の建設が開始される。

しかし、今年9月の時点でこの施設は設計図の上にしか存在しなか った。そこで黄博士とチームは仮設の施設で子犬を誕生させることにな ったが、施設が出来上がったのは出産の前夜のことだった。そういうわ けで黄博士は最終チェックに追われていた。

午後1時ごろ、当局の高官や企業幹部などの賓客がガラス張りの手 術室の外に集まった。代理母犬は帝王切開のために麻酔をかけられて眠 っている。黄博士はたくさんの子犬を育てられるように、また手術に耐 えられるように、体の大きな雑種犬を代理母に選ぶ。観客たちは全員、 スマートフォンを構えた。

11分後に、1匹目の子犬が取り出された。続いて2匹目と3匹目が 助手に手渡された。助手が子犬たちの体をきれいにした後マイクのそば に置くと、ガラスの向こう側の観客たちも可愛らしい鳴き声を聞くこと ができた。小さなリボンをつけてもらった子犬たちは金属のトレーに乗 せられ、看護士たちが観客に見えるように窓の方へ持ち上げた。

「魔法だ」と私の通訳者がつぶやいた。

原題:World’s First Clone Factory Will Copy Your Pet Dog for $100,000(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE