米国債:上昇、香港デモで逃避需要が拡大-インフレは抑制

米国債相場は上昇。香港の民主派デ モで地政学リスク要因が増えたほか、米金融当局の注目するインフレ数 値が目標に届かなかったことを受け、安全逃避先として米国債の需要が 高まった。

30年債と同年限インフレ連動債(TIPS)の利回り格差(ブレー クイーブンレート)は2011年以来の最小に縮小した。米商務省の発表に よると、8月の個人消費支出(PCE)総合価格指数は前年比1.5%上 昇。当局の目標値(2%上昇)を下回った。10年債利回りは月間ベース で14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇となっている。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオン (ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、クリストファー・サリ バン氏は「香港のデモで地政学リスクが高まり」、安全資産の需要を押 し上げていると述べ、「インフレ加速リスクは穏やかなものだ」と続け た。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは前営業日比5bp低下の2.48%。同年債 (表面利率2.375%、2024年8月償還)価格は14/32上昇して99 3/32。

ブルームバーグ米国債指数は月初から0.7%低下。昨年12月の1.1% 以来の大幅な低下となっている。

ブレークイーブンレート

30年物ブレークイーブンレートは2.0095ポイントと、終値ベース で2011年12月以来の最小となった。

5年債と30年債の利回り格差(イールドカーブ)は一時1.39ポイン トと、2009年1月以来の最小まで縮小した。目標値を下回るインフレや 質への逃避から、償還期限の長い国債に買いが入っている。

香港では民主化を求める何万人ものデモ参加者が街頭での抗議活動 を再開、 自由かつ開かれた選挙の実施や梁振英行政長官の辞任を要求 している。

シカゴ連銀のエバンス総裁は経済が借り入れコストの上昇に耐えら れることを確実にするため、2016年第1四半期まで事実上のゼロ金利を 維持することを望んでいると発言。これを背景に10年債利回りは低下し た。

エバンス総裁は29日、シカゴでの講演後に記者団に対し、「金融政 策が適切で経済見通しが極めて良好な中で、インフレは緩やかに目標値 に近づきつつあるにすぎない」と述べ、「そうした意味で適切な政策 は2016年第1四半期の利上げだ」と続けた。

利上げ見通し、最後の購入縮小

ブルームバーグがまとめたフェデラルファンド (FF)金利先物 動向によれば、当局が来年9月までに政策金利を引き上げる確率は26日 時点で79%となっている。1日は73%だった。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が発表した参加者の予測(中央 値)によると、2015年末のFF金利誘導目標 は1.375%と、6月時点 の1.125%から上方修正された。

FOMCは債券購入額を月150億ドルに減額する方針を発表。10月 で資産購入プログラムが終了するペースを維持した。

CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債 トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は、 「最後の縮小が決定する月が近づいている」と述べ、「そのため償還期 限の短い債券は上値を抑えられるが、長期債は質への逃避の恩恵を受け る」と続けた。

8月のPCEは前月比0.5%増加。ブルームバーグがまとめたエコ ノミスト予想の中央値は0.4%増。8月の個人所得は0.3%増加した。

原題:Treasuries Advance on Refuge Appeal Amid Subdued Inflation (抜粋)

--取材協力:Daniel Kruger、Eshe Nelson、Cordell Eddings.

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