寝耳に水だったPIMCOとアリアンツ-グロース氏最後の反抗

米パシフィック・インベストメン ト・マネジメント(PIMCO)の親会社である欧州最大の保険会社、 ドイツのアリアンツの経営幹部にとっても、まさに「寝耳に水」だっ た。

それはミュンヘン時間9月26日午後2時28分のことだった。 PIMCOの共同最高投資責任者(CIO)として2兆ドル(約219兆 円)相当の資産を運用していたビル・グロース氏が、ジャナス・キャピ タル・グループに移籍すると発表したばかりで、アリアンツの株価は下 げ始めていた。同社はPIMCOに急ぎ電話し、債券相場に最も影響力 を持つこの人物の退職が事実かどうか確認せざるを得なかった。

アリアンツとPIMCOの両方の事情に詳しい複数の関係者によれ ば、PIMCOもグロース氏(70)の退職を承知していなかった。経営 幹部の懸念に対する無関心ゆえに追放の瀬戸際に追い込まれていた同氏 は、43年前に創業に携わった会社を経営陣に何も告げずに去ることで、 1人の偉大な投資家として「最後の反抗」を試みたようだ。

グロース氏が辞めるとのニュースを受けて、アリアンツの株価は約 3年ぶりの大幅安となり、米国債とクレジット・デリバティブ(金融派 生商品)指数、メキシコ・ペソにも売りが波及。PIMCOのトレーダ ーらは、影響を食い止めるための対応に追われた。グロース氏はこの時 すでにジャナスが拠点を置くコロラド州デンバーに向かう飛行機の中に いた。

PIMCOのダグラス・ホッジ最高経営責任者(CEO)は26日の 発表文で、「PIMCOの事業を築き上げ、顧客に価値をもたらしたビ ルのあらゆる貢献にわれわれは感謝している」としながらも、 「PIMCOを前進させる手法をめぐる経営幹部とビルとの考え方の基 本的な違いが、今年に入ってますます際立つようになった」とコメント した。

金持ちにしたのは私

PIMCOの事情に詳しい関係者の1人が匿名を条件に語ったとこ ろでは、伝えられていたグロース氏の不愉快な態度をめぐり一部の投資 家が親会社のアリアンツに接触していた。PIMCOのファンドに1980 年代から資金を投じているブラウワー・ジャナチョウスキーのカート・ ブラウワー会長は、モハメド・エラリアン氏が1月にPIMCOの CEOを辞めたことに関連し、「モハメドが去ってからずっとナイフは ビルに向かって抜かれていた」と指摘した。

関係者によると、グロース氏は上級専門職の複数の幹部を軽んじる 言動を繰り返し、エラリアン氏にも「私には41年にわたる卓越した投資 実績があるが、君には何があるというのだ」と発言。別の関係者によれ ば、エラリアン氏の退職後も態度が改められることはなく、ホッジ氏ら 古参の経営幹部について、「金持ちにしてやったのは私だ」とたびたび 述べていたという。

原題:Gross’s Last Defiance Stuns Allianz, Pimco in Departure to Janus(抜粋)

--取材協力:Alexis Leondis.

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