ウォール街のサイクリスト、歩行者の死亡事故きっかけに自問

ポートフォリオマネジャーのジャン ピエール・プルサック氏は、ニューヨークのセントラルパークで7年間 にわたってサイクリングをしていた。しかし、ジル・ターロフさんの死 を知ってサイクリングをやめた。

コネティカット州在住で2人の子供の母親であるターロフさん (58)は18日、パーク内のウェストドライブを歩いて横切っていた時サ イクリストと衝突し、4日後に死亡した。この事故の後、プルサック氏 はサイクリング仲間に向かってこう言った。「サイクリングに行くのは やめよう。もう終わりだ」。

事故をきっかけにオンラインの自転車フォーラムなどで反省や議論 が始まった。議論のテーマは、一般道路で生まれたスポーツが、数百万 台の自動車やトラック、タクシーのほか、ランナー、スケーター、長い リードで散歩する犬、土地勘のない観光客、スマートフォンに気を取ら れている歩行者らと共存できるかどうかということだ。

全米自転車販売店協会によれば、米国の自転車業界は2003年以降、 安定した状態が続いており、昨年の売上高は58億ドル(約6400億円)だ った。しかし、金融業界で勤務する人々の間では、サイクリングの人気 はこれまでにないほど高まっている。サイクリングとトライアスロン は、競争が激しくスピードと記録を重視する業界にぴったりのスポーツ だ。自転車をこぐことで日常から逃避する感覚も味わうことができる。

高価な趣味

「金融業の人たちは現在、ゴルフの代わりにサイクリングをしてい る」と話すのはニュージャージー州フォートリーでサイクリング店スト リクトリー・バイセクルズを営むネルソン・グティエレスさんだ。ウォ ール街の給与水準が高価な趣味を可能にしている。インサイド・トライ アスロン誌で昨年試乗されたトライアスロンバイクの価格帯は5500-1 万2000ドル。部品メーカーは自転車の部品を何段階にもランク付けし、 アップグレードや軽量化の機会を際限ないほど提供している。

ターロフさんの事故は、セントラルパークで発生した歩行者の自転 車との衝突死亡事故としては2カ月足らずで2件目となった。ニューヨ ーク市交通局によれば、06-13年に自転車との衝突事故によって歩行者 4人が死亡した。一方、警察当局の統計によると、自動車事故による歩 行者の死者数は昨年だけで168人、自転車に乗っていた人の死者は11人 に上っている。

米モルガン・スタンレーの債券トレーダー、ブライアン・リー氏 (42)は市内ではサイクリングの練習をしないことにしている。事故の 加害者になるより被害者になるリスクの方が高いと同氏は話す。

リー氏は「危険であることは明らかだ。自動車や人、小石、砂、ガ ラスなど環境を自分でコントロールすることはできない。悪い事態は起 こり得る。自動車に衝突されるか否かではなく、いつ衝突されるかの問 題だ」と述べた。

原題:Wall Street Cyclists Reassess Need for Speed After Death in Park(抜粋)

--取材協力:Allyson Versprille、Chris Dolmetsch.

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