円が6年ぶり安値水準から反発の公算、FRB高官もドル高けん制

6年ぶりのドル高・円安水準に達し ている為替相場が自国の経済に与える影響を懸念する声が日米両国から 上がる中で、テクニカル指標は円安・ドル高が一服する可能性を示唆し ている。

ドル・円相場は26日に一時1ドル=109円53銭と、2008年8月以来 の水準までドル高・円安が進んだ。ブルームバーグ・データによると、 相場の勢いを判断するテクニカル指標のRSI(相対力指数、14日ベー ス)が19日に87と01年以来の水準に上昇した。足元でも81台と「買われ 過ぎ」の目安となる70を上回った状態が1カ月間も続いている。

また、相場の転換点を見極める指標の一つとして用いられる MACD(移動平均収束拡散法)は24日に付けた約1年半ぶり水準をピ ークに頭打ちとなり、その移動平均線であるシグナルラインに接近。一 般的に高値圏でMACDがシグナルラインを下回ると売りサインとみな される。年初に同サインが点灯した際には、同日に付けた105円44銭が ドルのピークとなり、その後1カ月で100円台後半まで下落した。

みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「相場の過熱 を示すような指標はさすがに軒並み買われ過ぎを示している」と指摘。 実際、ドル高・円安が急速に進む中で、「誰かが買うから上がるし、上 がるから買うといったチキンレースのような状況」になっている部分も あるとし、米国サイドがドル高けん制姿勢を示せば、「ちょうどいい利 食いと調整の理由になる」とみている。

ブルームバーグの購買力平価分析(消費者物価ベース)によると、 円は対ドルで「適正レート」を23%下回り、主要10通貨の中で最も割安 となっている。

為替報告書

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は22日、急激なドル高は経済成長 とインフレの浮揚に向けた金融当局の努力を損なう恐れがあると発言。 アトランタ連銀のロックハート総裁も25日に、一段のドル上昇が一部企 業の輸出競争力低下につながる恐れがあると述べた。

IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「ドル・円相場反転 のきっかけとして最も注視すべきは、米国サイドからのけん制発言」だ とし、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者による異例の為替発言な ど、「米国でも直近の急激なドル高に対する懸念が渦巻いている」と指 摘。米財務省が為替報告書で「ドル高に対するけん制や日本の金融政策 が円安を誘導しているという批判を盛り込むようなことがあれば、一気 にドル安・円高に動く可能性がある」とみる。

米財務省は10月にも半年に一度の為替報告書を議会に提出する見通 し。前回4月の報告書には主要貿易相手国で為替操作国と認定された国 はなかったものの、声明では日本の政策を引き続き注視するとの見解が 示された。

10月に105円も

石川氏は、FRBの利上げ観測を背景としたドルの先高観は根強い としながらも、「いったん110円台に乗せた後は、達成感から一気に利 益確定の売りが出てくる」と予想。目先は107円がドルのサポートライ ンになるとした上で、為替報告書の内容次第では10月に105円までドル 安が進む展開もあり得るとみる。

一方、日本では経済界のほか、元財務官日本銀行OBからも、円 安が輸入コスト高を通じて、中小企業を中心に日本企業の業績を圧迫す るといった懸念の声が相次いでいる。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は「今ま では輸出の方が多かったので円安がいいという人の声が多くて 、今は 輸入の方が多いので、困るという人の声はどんどん大きくなる」と指 摘。その上で、「インフレ率がどこまで上がったら日本経済にとってい いかという問題が、結局はどこまで円安がいったらいいかというのと同 義なのではないか」と語る。

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