銀行に新たな好機-クリーンエネルギー社会への道筋示す番付

世界のクリーンエネルギー投資が昨 年、11%減少し2450億ドル(約26兆7400億円)となる中、銀行は新たな 好機を見いだした。それは、再生可能エネルギー投資会社の新規株式公 開(IPO)に関連する出資や助言などの業務だ。

「イールド企業」と呼ばれるこれらの投資会社は、電力会社に長期 契約で電力を供給する太陽光や風力などの発電施設を買収することによ って成長している。数年前は数少なかったこれらの企業による2013年以 降の調達資金の総額は9月半ば時点で38億ドルを超えた。ブルームバー グ・マーケッツ誌11月号が報じている。

成長を遂げるこの業界への取り組みが奏功し、ブルームバーグ・マ ーケッツ誌の最も環境に配慮している銀行の世界ランキングでカナダの ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)と米ゴールドマン・サック ス・グループは共に上位5位以内に入った。邦銀勢ではみずほフィナン シャルグループが6位、三菱UFJフィナンシャル・グループが8位だ った。

ニューヨークでは23日、各国の首脳ら120人余りが集結し、世界最 大の気候変動サミットが開催された。国連の潘基文事務総長は経済界の リーダーらに対し、化石燃料からの移行と二酸化炭素(CO2)排出量 削減を訴えるとともに、世界的な気候変動対策のための新たな枠組み策 定に取り組むよう各国政府への働き掛けを求めた。

「地球に代わりがないように、気候変動対策も他に選択肢はな い」。潘事務総長は21日にニューヨークで行われた同対策への積極的な 参加を呼び掛けるデモの最中にそう語った。主催者によると、デモに は31万人を上回る参加があった。

石炭投資のリスク

RBCは英風力発電会社グリーンコートUKウィンドの4億ドル、 太陽光エネルギー会社フォーサイト・ソーラー・ファンドの2億4200万 ドルの資金調達をそれぞれ支援して4位。ゴールドマンはNRGイール ドの4億3100万ドル規模のIPOを手助けして5位となった。

特に銀行など投資家がイールド企業を選好する理由は、電力会社が 太陽光・風力発電施設で発電された電力を買い取るために、これらの企 業に対して安定した額の現金を支払うからだ。

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアナリスト、 ナサニエル・ブラード氏(香港在勤)は「これらの企業は、保守的かつ サステナビリティー(持続可能性)を重視する投資家のニーズを満たし ているため、今後このような投資が大幅に増えるだろう」と指摘する。

欧州勢が優勢

年間ランキングでは欧州の銀行が優勢だった。昨年、トップの座を 米シティグループに奪われたスペインのサンタンデール銀行が首位に返 り咲き、2位はフランスのBNPパリバ、3位はイタリアのウニクレデ ィトと続く。米銀のランキングは振るわなかった。その大きな理由の1 つは、昨年のランキングを押し上げた風力発電プロジェクトへの減税措 置が終了し、開発が92%落ち込んだからだ。ブルームバーグのランキン グで銀行の石炭関連投資を初めて減点要因としたことも米銀の順位低下 につながった。

ボストン・コモン・アセット・マネジメントで20億ドル余りの運用 を手掛けるギータ・アイヤー氏は、投資家は、石炭投資に関する責任を 銀行に取らせるべきだと指摘する。

アイヤー氏は「銀行には石炭プラントと鉱山会社をポートフォリオ に織り込むことに伴うリスクを無視してほしくない」と語る。同氏のフ ァンドはシティグループや英HSBCホールディングス、米JPモルガ ン、三菱UFJフィナンシャル・グループの株式を保有している。

主導的役割

アイヤー氏がこれらの銀行に投資する理由の1つは、融資計画に化 石燃料を加えることの危険性について考慮を促すためだ。

「銀行には、案件の検討に入る前に、気候変動のリスクについて事 前審査してほしい」と同氏は語る。

世界の石炭業界向けに約17億7000万ドルの融資提供を支援したシテ ィグループは今年、上位20位以内に入らなかった。同行は、スイスの商 品取引会社グレンコアによる290億ドル規模のエクストラータ買収を支 援。世界最大の石炭輸出会社が誕生した。

シティの広報担当者、カムラン・ムンタス氏は「当行は07年以降、 気候変動抑制に向けた活動に540億ドルを振り向けている」と説明。目 標としていた500億ドルを予定より3年早く上回ったと述べた。

世界の石炭向け投資は中国がけん引した。中国は再生可能エネルギ ー開発でも首位で、昨年は613億ドルを投資した。

再生エネルギー投資は米国が484億ドルで2位。日本は東京電力福 島第1原子力発電所事故の影響で56%増加し354億ドルだった。

「銀行業界は、CO2排出量を抑制する世界を目指して主導的な役 割を担うことができ、また、そうすべきだ」とアイヤー氏は指摘した。

原題:Santander Greenest Bank as Europe Rises While U.S. Fades: Energy(抜粋)

--取材協力:Wei Lu.

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