住友商株が急落、3年半ぶりの下落率-米シェール事業損失

米シェールオイル開発投資などで損 失を計上する見通しとなったことから、住友商事株は30日に急落。株価 は一時前日比13.2%安と、2011年3月15日以来の下落率となった。

同社は29日、今期(15年3月期)連結純利益予想について、従来 の2500億円を大幅に下回る100億円に下方修正すると発表した。米国で 手掛けるタイトオイルと呼ばれるシェール層からの原油開発事業での 約1700億円の減損損失計上など、資源分野を中心に合計2400億円の損失 を計上する見込みとなった。

12年9月に事業参加した米テキサス州の原油開発事業は米デボン・ エナジーが主導し、住商の出資比率は30%。保有する鉱区の地層が複雑 で、当初想定以上に開発コストが掛かることが判明した。この事業の北 部地域では投資額を回収できるほどの石油や天然ガスの生産は見込めな いと判断し、この地域で保有するリース権や井戸、関連設備の売却を決 めた。売却先や日程は未定。南部地域の鉱区については保有を継続する が、開発方針は今後の収益性などを見極めて判断するとした。

そのほか、市況低迷で豪州の石炭事業で約300億円の減損損失を計 上するほか、ブラジルの鉄鉱石事業で約500億円、米国タイヤ販売事業 でも約200億円の減損損失計上の可能性を見込む。税効果等の影響300億 円を差し引いた2400億円が減益要因となる。これを踏まえ配当予想も修 正。中間配当は当初の予定通り1株当たり25円を維持するが、期末配当 と年間配当については未定とした。前期の年間配当は47円だった。

追加減損は資源価格次第

29日夕に都内本社で記者会見した中村邦晴社長は「足元の資源価格 から大きく下がらなければ追加の減損の可能性はない」と述べた。期末 配当を未定としたことについては「実際に決算を締めるまで何が起きる か分からない。今は未定とする」と話した。

先に会見した猪原弘之最高財務責任者は、今回の多額の損失を計上 したことを受けて同日付で社内に経営改革特別委員会を設置したと説 明。減損計上の原因究明や資産ポートフォリオの見直しなどを進める考 えを示した。同社は全体の資産に占める資源事業の比率が他の総合商社 と比べて低く、資産比率の引き上げを目指すこれまでの方針は「白紙に する」という。

野村証券の成田康浩アナリストは29日付のリポートで、株主資本 の10%程度をき損する減損処理は「ネガティブな印象」とし、従来「買 い」としていた投資判断を「中立」に引き下げた。目標株価も1850円か ら1400円に減額した。同社が示した管理体制の強化策も「具体的な内容 は未定で先行きの戦略に不透明感は残る」と指摘した。

想定外の減損

大和証券の五百旗頭治郎シニアアナリストは電話取材で「ここまで 大きな減損額になるとは想定していなかった」と話した。同社は期末配 当と年間配当を未定としたが「引き下げるリスクがあるのは今後の注目 点。株主還元がテーマとなっている現在の株式市場からすると残念」と 指摘。さらに米タイヤ事業などで追加の減損懸念が残るとして、「今期 の純利益が100億円でとどまるのかは不透明」だと語った。

住商の業績下方修正を受け、格付投資情報センター(R&I)は同 社の格付けの見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ た。R&Iは格付け引き下げを発表したリポートで「利益蓄積が進まな い一方、今期の新規投資は計画通り行う方針でリスク耐久力の低下が避 けられない」と指摘した。

その上で、リスク管理態勢が機能せずに、今後も減損処理が発生す るなどして格付けにかなり見劣りする利益しか確保できないような場合 には「格下げの公算が大きくなろう」との見方を示した。

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