「すしバブル」がモスクワで破裂-プーチン氏の対立路線が穴

ロシアのプーチン大統領が権力の座 に就いてから最初の10年には、モスクワに「すしの時代」と呼ばれる時 代が到来した。生魚を使ったすしがこの間に、モスクワっ子にとってな くてはならないメニューになったからだ。

このすしバブルが今、しぼみつつある。ウクライナをめぐるプーチ ン大統領の政策を引き金に通貨ルーブルが急落し、米欧との貿易戦争も 勃発したことが拍車を掛けている。

ロシア最大のレストラン持ち株会社、ロスインテルの創業者、ロス ティスラフ・オルドフスキータナエフスキー・ブランコ会長はインタビ ューで、「われわれの業界のブラックスワン(予想ができず影響の大き い事件)は米欧との対立だった」と語った。

プーチン大統領が突き進む米欧との対立路線によって、モスクワの 消費者が失うものは大きい。ルネサンス・キャピタルのエコノミスト、 オレグ・コウズミン氏によれば、プーチン氏が大統領に就任した2000年 から今年4-6月(第2四半期)までに平均月給は440%増えて5 万8800ルーブル(約16万8000円)になった。しかし、国民の可処分所得 は今年3月に2009年以来で最大の減少となった。

さらに、米欧の制裁に対する報復措置としてプーチン大統領が食料 品の輸入を制限したため生魚が手に入りにくくなった上に、ルーブルは ドルに対して年初から16%下落した。

ウェブサイトAfisha.ruによれば、人口1200万人のモスクワには日 本食を提供するレストランが949ある。そこでは「マキ」ピザロール や、うなぎベースのネタにロシア人の好む香草を使ったグリーン・フィ ールド・スパイシー・ディル・ロールなどのフュージョンすしが供され ていた。

「ハンバーガーみたいなもの」

オルドフスキータナエフスキー氏は「ロシアのすしは米国のハンバ ーガーみたいなものだ。非常に大きな大衆市場になったために、地方都 市にあるピザ店はいずれもすしを救済者だと思うようになった」と語っ た。こうした風潮が、すでにプーチン氏による輸入制限以前からすしの 人気に陰りが生じる原因になったのかもしれない。

すしチェーンのドゥベ・パロチキで料理長をしているキリル・スホ チェフ氏は「人々は飽きかけていた」上に「すしに使える品質の魚も手 に入らなくなった」と語る。このため、オルドフスキータナエフスキー 氏のロスインテルはプラネタ・スシの名前で展開していたチェーンのブ ランドをただのプラネタにして「グローバルキュイジーヌ」を売り込ん でいるという。

--取材協力:Ilya Khrennikov.

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