NY連銀総裁、反利上げ陣営の新戦線張る-異例のドル高発言

ニューヨーク連銀のダドリー総裁が 一歩踏み出せば、連邦公開市場委員会(FOMC)は後からついて来 る。

2010年10月。ダドリー総裁は米国の雇用の伸びとインフレの先行き について「受け入れられない」と評し、金融政策による追加の刺激策を 講じて良いのではないだろうかと述べた。1カ月後、FOMCは大規模 資産購入プログラム(量的緩和)の第2弾を送り出した。

今年5月。ダドリー総裁は利上げ開始の前にバランスシート資産の 再投資を停止する計画に異議を唱え、「最善の戦略ではないようだ」と 述べた。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、この意 見にFOMCメンバーらが賛成したことを明らかにした。

FOMCの議決権は輪番制で地区連銀総裁に与えられているが、ニ ューヨーク連銀総裁だけがこれを常に有する。ニューヨーク連銀総裁は ウォール街に対する監督の目であり、意見を受け付ける耳でもある。だ からダドリー総裁の発言には耳を傾ける価値がある。

主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポ ット指数が2010年6月以来の高水準(終値ベース)に達して以来、米金 融当局者としては初めて、ドルについてのコメントが今週、ダドリー総 裁から飛び出した。

ドルが大幅に上昇すれば

ダドリー総裁はニューヨークで開かれたブルームバーグ・マーケッ ツ・モスト・インフルエンシャル・サミットで、「ドルが大幅に上昇す れば、経済成長への影響を伴うことになる」と述べた。

「通商面の実績が悪化し、輸出が減り輸入が増える」と指摘。「ド ルの大幅上昇はインフレを抑える傾向がある。従って2%の目標達成は 一層難しくなる。このことを考慮するのは当然だろう」との発言だ。

さて、投資家はこれをどう解釈するべきか。

まず考えられるのは、ダドリー総裁が利上げ反対陣営の新たな戦線 を張っている可能性だ。金融当局内では同陣営がますます力を付けつつ ある。ドイツ銀行はダドリー総裁をイエレン議長と同じくらいにハト派 的だと評し、同議長が目を光らせている労働市場ダッシュボードにドル の項目を加えるべきだと指摘する。

またコメルツ銀行のシニア通貨ストラテジスト、ルッツ・カーポウ ィッツ氏(フランクフルト在勤)は「ダドリー総裁に決定が委ねられる のなら、FOMCは間違いなく利上げを先送りする」と述べた。

成長、インフレ

これから注目されるのは、果たしてイエレン議長がダドリー総裁に 同調するかどうかであり、あるいはFOMCがドル高に何らかの反応を 見せるかどうかだ。そうならないと読む理由の一つは、日本と欧州の両 方が輸出競争力の支援という意味でドル高を歓迎していることだ。 FOMCもより均衡の取れた世界経済回復を望むだろう。

とりあえずFOMCは心配し過ぎる必要はなさそうだと、ゴールド マン・サックス・グループは言う。エコノミストのスベン・ジャリ・ス テーン氏は23日のリポートで、これまでのドル高がFOMCに与える意 味は「限定的だ」と分析。今後2年間の経済成長率へのマイナス寄与 は15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)未満、インフレへのマ イナス寄与は2、3bpに満たないだろうと解説した。

ステーン氏はただ、「ドル高が続くようであれば、やはりその影響 は幾分か大きくなるだろう」と付け加えた。

原題:Dudley Opens New Front for Fed Doves With Rising Dollar Warning(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE