【今週の債券】長期金利0.5%台の下限探る、国内勢に買い需要との見方

今週の債券市場で長期金利は0.5% 台で低下余地を探ると予想されている。円安進行への警戒は根強いが、 需給の良さで金利低下圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが19日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.52-0.60%となった。前週は0.58%と6月24日以来の水準まで 上昇した後にやや買い戻されて、0.555%で引けた。外国為替市場で円 は一時1ドル=109円46銭と2008年8月以来の水準に下落した。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、今週は来週の10年債入 札や米雇用統計発表をにらんで持ち高調整主導の相場になりやすいと指 摘。「海外勢が売りを仕掛けるための材料が乏しい分、国内勢の買い需 要がより強く出そうだ。国債の大量償還資金によって、今年度下期運用 分の確保に動く向きも出てくるだろう」と言う。

25日に流動性供給入札が実施される。投資家需要の強い既発国債を 追加発行する入札で、今回の対象銘柄は残存5年超から15.5年以下。発 行額は4000億円程度となる。

債券相場への影響が大きい長期や超長期ゾーンの入札は10月2日 の10年利付国債まで予定がない。良好な需給環境が続く中、今週も日銀 の長期国債買い入れオペ実施が2回程度見込まれている。

クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長は、今週は積極的な 買い材料には乏しいとしながらも、米連邦公開市場委員会(FOMC) やスコットランド独立投票など大きなイベントを消化して「買い安心感 が出てきそうだ」と言う。

全国消費者物価

26日には全国の消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルーム バーグ・ニュースの調査によると、8月の全国の生鮮食品を除いたコア CPIは前年同月比3.2%上昇の見通し。15カ月連続でプラスとなるも のの、伸び率は前月の同3.3%上昇から鈍化する予想となっている。

野村証の松沢氏は「CPI統計はどちらかといえば下振れそうだ が、市場の関心はもはや足元よりも、円安効果で来年どこまでCPIが 上振れるかだろう」と分析している。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は中心限月の12 月物、10年国債利回りは新発物の335回債。

◎クレディ・スイス証券の宮坂知宏債券調査部長

先物12月物145円20銭-145円60銭

10年国債利回り=0.55%-0.59%

「米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の言葉通り米利 上げは経済次第。足元でインフレ率が上昇する兆候も見られず、利上げ を急ぐ理由はない。中間期末で取引が鈍る可能性もあるが、国債償還の 再投資需要や、日銀買いオペが月内3回残っており、需給的には買いが 優勢になりやすい。円安や株高が加速しているものの、円債が大きく売 られる要因にはならいのではないか」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー

先物12月物145円20銭-145円65銭

10年国債利回り=0.55%-0.59%

「海外の注目イベントを乗り切ったことで、現物債の需給環境の良 好さが焦点になる。先週はFOMCやスコットランドの住民投票があっ たため、国債大量償還に伴う資金の再投資は進んでおらず、10年債利回 りが0.6%に接近すれば下期を見据えた買いが見込める。長期や超長期 ゾーンの国債入札がない一方、日銀はたんたんと買い入れを行う。短国 がマイナス金利で取引される中、5年程度の中期ゾーンまでの金利も上 昇しづらい」

◎マスミューチュアル生命運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

先物12月物145円15銭-148円85銭

10年国債利回り=0.52%-0.60%

「9月中間決算期末に向けた持ち高調整が中心となりやすい相場展 開になりそうだとみている。週初はいったん落ち着きを取り戻して、相 場は反発するのではないか。日経平均株価は1万6000円付近で上げが一 服するのではないかとみている。債券は下げた局面で、投資家から実需 の買い需要が多少出てくるとみている」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors: 崎浜秀磨, 山中 英典

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