クレジット市場の最終戦争、PE企業は3000億ドルで備え済み

債券の投資家というのはどうしても 悲観的になってしまうものだ。クレジット市場のアルマゲドン(最終戦 争)の影におびえるのもいい加減にした方が良いと、ドイツ銀行のスト ラテジストらは見ている。

センチメントが変わればミューチュアルファンドからキャッシュが 一気に逃げ出すかもしれないし、ウォール街はマーケットメイクへのや る気をまったく見せないかもしれない。しかしプライベートエクイティ (PE、未公開株)投資会社はクレジット市場に投資するために、少な くとも3000億ドル(約32兆6900億円)の資金を調達済みだ。債券が売り を浴びせられる事態になっても、PE投資会社が買い手として現れそう だと、ドイツ銀行の米クレジット戦略責任者、オレグ・メレンティエフ 氏は見ている。

信用危機を控えた7年前には「このような資金はほとんど存在さえ しなかった」とメレンティエフ氏が率いるアナリストらは19日付のリポ ートで指摘。債券不況で「まったく買い手が現れない」といった壊滅的 なシナリオは「現実のものにはならないだろう。こうした辛抱強くて質 の高い資本があるからだ」という。

社債の発行残高が膨らむ一方で、その買い手の構成にも変化が起き た。ウォール街のディーラーらは資本比率引き上げと新たなリスク抑制 ルールへの対応で、トレーディングのための債券をあまり貯め込まない ようになった。一方でミューチュアルファンドやヘッジファンド、PE 投資企業は購入を増やしている。

カーライル、ブラックストーン

カーライル・グループやブラックストーン・グループ、KKRなど は昔ながらのレバレッジドバイアウト(LBO)中心のビジネスを多様 化し、債券投資を強化した。

米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、米社債市場の規模 は2007年から46%膨らんで、7兆7000億ドル近くになった。6年近くに 及ぶゼロ金利政策に支えられ、企業による起債額は過去最高を記録し た。

ディーラーの債券在庫が減少しているためにトレーディングに時間 がかかるようになり、投資家は無秩序な売り浴びせが起きるのではない かと心配している。2008年の信用危機以降、債券ミューチュアルファン ドに前例のない規模の資金が流入したが、金利が上昇し始めると、この 流れが反転し買い手がいなくなるという懸念もある。

こうした心配の一部はPE企業に蓄えられた債券の在庫で緩和され るというのが、ドイツ銀行のメレンティエフ氏の考えだ。こうした資金 の中には、売り局面での安値拾いを見越したものもある。

昔と同じ流動性ではない

ドイツ銀行のアナリストらのリポートは「代替投資企業が貯め込ん だ債券資本は、2007年以降にディーラー在庫が減少した分を上回る」と と推計している。

プライマリーディーラー(政府証券後任ディーラー)全社の社債在 庫は昨年3月に560億ドルと、2007年のピークから76%減少した。

メレンティエフ氏によれば、流動性は昔と同じではないが、だから と言って市場がストレスに押しつぶされるとは限らない。価格が下がれ ば、これまで控えていた新たな買い手が押し寄せるだろうという。

原題:Deutsche Bank Sees $300 Billion Stash Debunking Credit Doomsday(抜粋)

--取材協力:Devin Banerjee.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE