ソニー:クラウドゲーム、他社製TVでの展開見込む-ハウス氏

据え置き型ゲーム機「プレイステー ション(PS)4」の販売が好調なソニーは、北米で提供中のクラウド ゲームサービスを他社製テレビにも広める考えだ。会社全体で2015年3 月期(今期)の赤字拡大が見込まれる中、ゲーム事業の重要性が高まっ ている。

ゲーム事業を統括するソニー・コンピュータエンタテインメント (SCEI)のアンドリュー・ハウス社長が18日、東京ゲームショウで ブルームバーグのインタビューに応じた。現在PS4や一部のソニー製 テレビで遊べるクラウドゲームサービスについて、ソニー製に限らず、 「さまざまなスマートテレビが次の目標となり得る」と述べた。

ソニーは前日、今期の純損失が2300億円に拡大するとの見通しを示 すとともに、1958年の上場以来初となる無配を発表した。こうした中で ゲーム事業は比較的好調で、昨年11月に新据え置き型ゲーム機PS4を 発売以来、実売台数は8月10日時点で1000万台を突破した。ソニーはオ ンラインコンテンツを充実させて増収につなげたい考えだ。

ソニーはクラウド技術を活用し、PS4向けには7月末から北米 で、オンラインストリーミングゲームを楽しめる「PSナウ」サービス の試験運営を開始した。さらに北米では同サービス対応するソニー製液 晶テレビも発売。ハウス氏はレンタルや会員制価格について検討してい ると述べた。その上で、「消費者にとってまったく新しいゲーム体験で あるため長期的視点で取り組んでおり、徐々にサービスを改善してい く」と語った。日本でのサービス予定については明らかにしていない。

ネットフリックス型サービス

同氏によると、北米のPS4ユーザーは、オンラインでビデオレン タルや映像ストリーミング事業を手がけるネットフリックス社などのサ ービスもよく利用している。このため、ゲーム以外の娯楽コンテンツを オンラインで楽しむユーザーのニーズにも応えていく考えだという。

ソニーのゲーム・ネットワークサービス事業は6月までの3カ月間 に売上高が前年同期比でほぼ倍増して2575億円に達し、営業利益も43億 円の黒字となった。同社は7月末に同事業の今期の業績見通しを25%引 き上げ、250億円の営業利益とした。

ハウス氏は、テレビに限らず「さまざまなパートナーとともに、多 様なデバイスでPSナウが楽しめるようにしたい」と述べ、テレビや他 の端末にもソニーのクラウドゲームを広める考えも示した。ソニーはス マートフォンとゲームの連携を強化しており、9月に発表されたスマホ 最新モデル「Xperia(エクスぺリア)Z3」はPS4のコントロ ーラに接続してリモート画面として利用することができる。

エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、テレビなどで展開する クラウドゲームは「ゲーム機に触れたことのない人や、遊んだことのな い人向けにPSゲームを遊べるようにした」と述べ、ソニーはコアゲー マー以外のユーザーを取り込む考えだと指摘した。しかし、クラウドゲ ームは「ネットワーク環境に左右され、ユーザー体験の均一性が保てな い」との課題もあると述べた。

VRデバイス

また、PS4向けの仮想現実(VR)デバイスとして、ソニーは 「プロジェクトモーフィアス」というゴーグル型VR端末の開発を進め ている。ハウス氏は発売時期について「早くても2015年になる」とし た。

VRの開発に携わるSCEワールドワイドスタジオの吉田修平社長 は2日、横浜のゲーム開発者向けイベントでゲーム以外に戦闘機のシミ ュレーションといった軍事用途や外科手術の練習にも活用できるとの考 えを示していた。

中国でのコンソール販売について、ハウス氏は「準備が順調に進ん でいる」とコメントし、中国当局とは現地企業が開発したゲームをソニ ーのプラットフォームに乗せて海外に広められるなど、利害が一致して いると述べた。ソニーは据え置き型ゲーム機「プレイステーション (PS)」とゲームソフトを中国市場に投入するため、上海東方明珠グ ループと合弁会社2社を5月に立ち上げている。

格下げ方向

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は18日、 ソニーのモバイル事業の業績見通しの下方修正を受けて同社の長期・短 期会社格付けと長期優先債券格付けを引き下げ方向の「クレジット・ウ ォッチ」に指定した。長期格付けは現在、投資適格で最低の「BBB -」。フィッチ ・レーティングスとムーディーズ ・インベスターズ・ サービスはこれより先に投機的水準に下げており、ソニーの収益性改善 への圧力が増している。

BGCパートナーズの日本株セールス担当マネジャー、アミール・ アンバーザデ氏(シンガポール在勤)は「ネットワークビジネスが収益 性の高いビジネスとなることを期待している」と電子メールで述べた。

ソニー株は一時、2011年3月15日以来の下落率となる前日比13%安 の1844円まで下げたあと、8.6%安の1940円で取引を終えた。

(更新前の記事は東京ゲームショウでの展示内容が間違っていたため訂 正済みです)

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