109兆円の巨大市場、ファクス頼り-解約殺到すれば機能まひも

いまだにファクスや電話が活躍する 規模1兆ドル(約108兆8000億円)の金融市場がある。ここでは投資家 が入金してから数カ月も手続きが進まず、その間まったくリターンが支 払われないことも少なくない。

架空の話ではない。当局の規制の手が及ばない、事業会社向けレバ レッジド・ローンの市場は現実に存在する。ますます自動化が進む金融 システムにおいて、ローンの組成とその取引は比較的古風な時代をなお 生きているようだ。ここにカンザス州やニューヨーク州の年金基金やミ ューチュアルファンドはマネーを送り込む。超低金利の時代において少 しでも高い利回りを求める個人投資家の要望に応じるためだ。

この時代遅れな構造の市場は1997年にはわずか350億ドル規模だっ た。今では巨大市場に膨れ上がり、状況が悪化して投資家が資金を取り 戻そうとシステムに殺到すると機能がまひする恐れがあり、その脅威を 強めている。今のところ、どの規制当局もこの不備を是正する責任を負 わない。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の マネーマネジャー、ベス・マクリーン氏は「極めて重大な問題だ」と語 る。「どこかのリテールファンド一つが解約に応じられなかったりすれ ば、影響は市場全体に広がる」と述べた。

金融危機以降、ローンをまとめるのに要する時間も長くなった。業 界団体であるローン・シンジケーションズ・アンド・トレーディング・ アソシエーション(LSTA)のデータによると、6月時点で平均20日 かかっている。2007年には17.8日かかった。高利回り債市場では3日以 内にまとまるのが普通だ。

70年前、対象から除外

規制当局が各種証券法を起草した約70年前、事業会社向けローンは おもに銀行と借り手の1対1の取引であるとして、対象から除外され た。今ではそれは通用しない。ローン債権のほとんどはシンジケート化 されて投資家に渡され、債券や株式のように投資家間で取引されてい る。

米証券取引委員会(SEC)の広報担当者、ジュディス・バーンズ 氏はコメントを控えた。米連邦準備制度理事会(FRB)や通貨監督庁 (OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)の代表のコメントも得られ ていない。これら機関はいずれも、銀行のローン引き受け基準が甘すぎ ると懸念を示している。

この構造の合理化がまったく進まない理由について、ボストンのミ ューチュアルファンド会社、イートン・バンスの銀行ローン担当ディレ クター、スコット・ページ氏は「引き受ける大手銀行にとって、この時 代遅れのシステムは明らかに都合がよい」と指摘する。

5%の手数料、膨大な量のファクス

スタンダード・アンド・プアーズのデータによると、JPモルガン やバンク・オブ・アメリカ(BOA)など大手銀行は大抵、レバレッジ ローンをまとめるにあたって1%から5%の手数料を取る。ブルームバ ーグのデータによると、投資適格級の社債に適用される0.5ポイントよ り高い。昨年のジャンク債の手数料は1.3%だった。

株式や債券と異なり、ローンを取引するには借り手である事業法人 の承認が必要になる。それで新たな貸し手の情報を反映させるために、 関連書類の書き換え作業に時間がかかる。

アイト・グループ(ロンドン)のシニアアナリスト、ビルジニー・ オシア氏はローンの手続きでは「膨大な量のファクス」がやりとりされ ると指摘。「この時代にファクス機がまだあると思わないかもしれない が、実際に使われている」と述べた。

原題:Dirty Secret of $1 Trillion Loans Is When You Get Money Back (1)(抜粋)

--取材協力:Kristen Haunss.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE