基準地価:三大都市圏で値上がり波及、住宅地も08年以来の上昇転換

アベノミクス効果による大都市圏の 地価上昇は昨年の商業地から、今年は住宅地にまで波及。宅地は6年ぶ りのプラスに転じた。4月の消費増税の影響で住宅需要の反動減は見ら れるものの、日本銀行の異次元金融緩和で地価は下支えされている。

国土交通省が18日発表した2014年の基準地価(都道府県地価調査) によると、東京、大阪、名古屋の三大都市圏の住宅地(7月1日時点) は前年比0.5%上昇とリーマンショック直前の08年以来のプラスに転じ た。昨年、5年ぶりに上昇した商業地は1.7%と2年連続でプラス。

不動産協会の木村惠司理事長(三菱地所会長)は、三大都市圏で住 宅地、商業地ともに価格が上昇したことについて「経済が緩やかに回復 する中で、地価の回復の兆しが広がりを見せつつある」とのコメントを 発表した。

三大都市圏では住宅地の約2分の1の調査地点で、商業地は約7割 が上昇。東京、神奈川、宮城、愛知、沖縄の1都4県は住宅地と商業地 がいずれもプラスになった。一方、地方圏は値下がりペースが鈍化した が、住宅地、商業地(各1.8%、2.2%の低下)ともに90年代初頭以来マ イナスが続いており、大都市圏との格差は解消していない。

基準地価と地価公示(1月1日時点)の共通地点を基に半年ごとの 地価動向を見ると、昨年後半(昨年7月1日-今年1月1日)と比べて 今年前半(今年1月1日-7月1日)は上昇率がやや鈍化。三大都市圏 の住宅地上昇率は0.6%から0.5%に、商業地は1.3%から1.1%にそれぞ れ減速した。

消費増税で上昇鈍化も

みずほ証券経営調査部上級研究員の石沢卓志氏は、今年に入ってか らの住宅地の動向について、「消費増税の影響が出た」と述べ、住宅販 売の反動減の影響があると指摘した。

マンションや住宅は、昨年9月末までに契約すれば、今年4月以降 の引き渡し分でも旧税率(5%)が適用されるため、家電など他の商品 よりも早く昨秋にかけて駆け込み需要が発生。不動産経済研究所による と、首都圏マンション発売戸数は8月まで7カ月連続で減少した。

もっとも住宅ローン金利が過去最低水準で推移し、ローン減税も強 化されたため、みずほ証の石沢氏は「増税後の落ち込みは予想の範囲内 なので、今後も尾を引くというものではない」と話し、住宅販売の回復 につれて大都市圏での住宅地価格上昇は続くとの見方を示した。

大型開発ラッシュ

住宅地では、昨年9月の東京五輪開催決定で会場に近い立地として 湾岸地域が人気を集めており、東京都中央区の勝どき駅周辺は10.8%上 昇と、東京圏の住宅地の上昇率トップとなった。不動産経済研究所によ ると、湾岸エリアの20階建て以上の発売戸数は13年、4753戸と7年ぶり の高水準となり、14-20年に約2万6000戸が竣工予定だ。

マンション用地の取得競争が過熱化し、人手不足による建築費上昇 も続くなどコストアップ要因が目立っており、野村不動産ホールディン グスの中井加明三社長は「今後も良質な住宅を適切な価格で安定供給で きるかが大きな課題だ」と述べた。

昨年4月の異次元金融緩和以降、Jリート市場などを通じて流入し た投資マネーは引き続き商業地価格を押し上げた。回復が出遅れていた 都心オフィスビル賃料(三鬼商事調べ)が年明け以降8カ月連続で増加 に転じたことで、地価上昇に弾みが付いた。

商業地が値上がりする中、不動産会社の大型再開発計画も動き出し ている。三井不動産は5月、最大3240億円規模の増資計画を発表し、三 菱地所は今年から3年間で1兆円規模の投資を表明。森ビルは6月開業 の虎ノ門ヒルズを中核施設として、10年で事業規模1兆円の再開発に乗 り出す考えだ。

リゾートと観光地

また、円安を背景に外国人訪日客の増加が続き、リゾートや観光地 の地価も上昇。北海道の倶知安町では外国人の別荘需要が活性化し、倶 知安駅周辺は住宅地が6.9%、林地が50%上昇。京都市や沖縄県那覇市 でも商業地が値上がりした。

地価が最も高かったのは、住宅地が東京都千代田区六番町で1平方 メートル当たり価格307万円。商業地は中央区銀座2丁目の明治屋銀座 ビルで同2260万円だった。

上昇率で見ると、北陸新幹線延伸開業に伴う開発プロジェクトの進 展で15.8%上昇した石川県金沢市が商業地として全国1位。宮城県石巻 市は被災住民の移転需要で16.7%上昇し、住宅地のトップだった。

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