玉木OECD事務次長:消費増税延期は信頼大きく損なう-財政再建で

経済協力開発機構(OECD)の事 務次長で、元財務官の玉木林太郎氏は来年10月に予定されている消費税 率の2%引き上げについて、「日本の財政の持続可能性のため引き上げ なければならないのは明白だ」と述べ、先送りすべきではないとの認識 を示した。

チーフエコノミストも兼務する玉木氏は16日、ブルームバーグ・ニ ュースとの電話インタビューで、消費増税をしなければ「財政再建に向 けた政府の意思や再建計画についての信頼を大きく損なう」と指摘。さ らに、10%への引き上げ後の財政再建の具体的な道筋も、できるだけ早 く具体的に示す必要があると主張した。

安倍晋三首相は7-9月期の実質国内総生産(GDP)などの経済 指標を踏まえ、年末までに消費税の再増税を決断する。8日発表の4- 6月期GDP改定値は前期比1.8%減(年率7.1%減)と速報値から下方 修正され、リーマンショック以来の落ち込みとなった。7-9月期の GDPは11月中旬に発表される。

玉木氏は今年4月の消費税率の3%引き上げによって消費者の実質 購買力が低下することから「7-9月期以降も常に下押し圧力になる」 と述べ、「消費増税がなかったかのような状態に戻るというのは期待し 過ぎだ」と指摘した。日本経済は「一定の回復軌道に入っており、脱デ フレへの軌道も脱線していない。これから円安の効果も出てくる」とみ る。

OECDが15日発表した中間審査では2014年(暦年)の日本の成長 率を0.9%、15年を1.1%と予想した。5月時点の1.2%、1.3%からそれ ぞれ下方修正したものの、玉木氏は「13年の経済が驚くほど良かったわ けでも、今ひどく沈んでいるわけでもない」と述べ、消費増税を先送り とする経済状況ではないとの見方を示した。13年の成長率は1.6%だっ た。

消費増税を実施する場合の経済対策については「財政再建の措置を 支えるために財政出動をあまり乱用しないほうが良い」と述べた。日銀 が掲げる物価目標2%の達成が15年までに実現できなかった場合を想定 し、追加緩和を継続する姿勢を明確に示した方が足元の景気にプラスに 働くとの見解を示した。

輸出は相手国の景気次第

円安下で輸出が低迷している要因については、「輸出の数量を決め る最大の変数は相手国の景気。輸出が伸びないのは世界経済が2007年以 前のように良くないのが最大の理由だ」と述べた。世界の貿易の伸び率 は08年のリーマンショック前の半分しかなく、世界中で貿易が元のペー スに戻らない状況にあると分析する。

その上で玉木氏は「為替だけで輸出がものすごい伸びに戻るという のは期待が大き過ぎる。円安によってじわじわと日本の輸出は伸びる が、いきなり伸びる構造ではない」と述べた。「国際的なバリューチェ ーンの中に製造業が組み込まれている」ことなどから、円安が輸出増に スムーズにつながる状況にはないとの見方を示した。

為替の動向については「あまり急激に動くことは経済の安定にプラ スではない。為替は高い安いの水準の議論とは別に、一定の安定感を持 っていた方が良い」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE