ヘッジファンド業界の大物の秘蔵っ子、運用者のいばらの道

ネハル・チョプラ氏は人生の大半の 期間、競争相手を寄せ付けず全速力で駆け抜けてきた。

地元のムンバイではトップレベルの若手テニスプレーヤーとなり、 同年代の学生の多くが学士号を取得している間に米ペンシルベニア大学 経営大学院ウォートン校で経営学修士を取得。30歳になる前に資産家の ジュリアン・ロバートソン氏を説得し、自身が率いるヘッジファンド運 営会社ラタン・キャピタル・マネジメントへの資金提供を受けた。

過渡期にある企業への投資で2009年以降、業界平均のほぼ3倍に当 たる平均プラス19%の年間リターンを達成している。ロバートソン氏を はじめとする支援者にとって、チョプラ氏(34)は優秀な株式投資家 だ。チョプラ氏の強気な性格が、投資家に数百万ドルの利益をもたらし てきた。

一方、チョプラ氏に対して否定的な見方をする人々も多い。元社員 や投資を考えている人々は同氏の経営スタイルがラタンの人材流出につ ながり、運用資産も7億5000万ドル(約800億円)から伸び悩んでいる と指摘する。潜在顧客が投資を控えるのは、社員が定着しないことに加 え、集中的な投資手法が損失につながる可能性を懸念しているからだ。 さらに、投資見込み客3人によれば、もう一つの懸念事項は、チョプラ 氏が競合するヘッジファンドを運用する夫と投資アイデアを共有してい たことだという。

ヘッジファンド運用者に起業資金を提供しているタイガー・マネジ メントの創業者、ロバートソン氏(82)は「彼女は厳しい要求をする人 物だ」と指摘する。ラタン社の相次ぐ退社について電話インタビュー で、「われわれはその問題に対処している」と説明。「彼女はまだ比較 的若い。人生で多くの事柄に取り組まなければならない人もいる」と語 る。

「危険信号」

運用成績は上昇しているのに投資家が慎重な姿勢を崩さないという チョプラ氏が直面している状況は、非常に競争が激しいヘッジファンド 業界で、事業を拡張しながら資産を運用することの難しさを浮き彫りに している。この業界では、数少ない株式への投資が高い運用成績につな がり得る。潜在投資家1人と元社員2人が、情報が非公開であることを 理由に匿名を条件に明らかにしたところによると、ラタンでは5年間に 最高財務責任者(CFO)4人とアナリスト4人が退社した。

資産規模160億ドルのケンタッキー州退職年金基金の副最高投資責 任者(CIO)クリス・シェリング氏は、「経営幹部の相次ぐ退社が危 険信号であることは疑問の余地がない。特に機関投資家にとって障害に なることは間違いない」と指摘する。同氏はチョプラ氏の企業への投資 を検討したことはない。

チョプラ氏は、ラタンと同様の戦略で資産を運用するパリトシュ・ グプタ氏と結婚している。両氏とも経営陣の変更や合併により過渡期に ある企業への投資で利益を上げることを目指している。

夫婦それぞれが別のヘッジファンドを運用しているケースは、シタ デルの創業者で資産家のケン・グリフィン氏と、かつてロバートソン氏 の支援を得てアラゴン・グローバル・マネジメントを運営していたア ン・ディアス・グリフィン氏夫妻らほんの一握りだ。アラゴンは09年に 顧客に資金を返還。両氏は現在、離婚に向けて協議している。

原題:Tiger’s Chopra Stumbles in Rise to Top of Robertson Empire (1)(抜粋)

--取材協力:Katherine Burton.

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