ソニー株が大震災以来の急落、純損失拡大と初の無配で

今期の純損失拡大見通しと上場来初 の無配を発表したソニーの株は売り圧力にさらされ、一時、東日本大震 災直後以来約3年半ぶりの日中下落率となった。

ソニー株は一時、2011年3月15日以来の下落率となる前日比13%安 の1844円まで下げたあと、8.6%安の1940円で取引を終えた。

ソニーは17日、2015年3月期の純損失が2300億円に拡大すると発表 した。従来予想は500億円の赤字だった。1958年の上場以来初となる年 間での無配当も決めた。モバイル事業での中期計画を見直した結果、営 業段階で1800億円の損失を計上する見込みとなったことが理由。

ソニーの発表資料によると、モバイル事業の営業権全額の減損 約1800億円を営業損失として計上。この結果、営業損益予想も従来 の1400億円の黒字から400億円の赤字に下方修正した。売上高見通しは 据え置いた。営業損益が赤字となれば3期ぶり。今後モバイル事業 で1000人規模の人員削減を行うことも明らかにした。

エレクトロニクス分野の再建を掲げて「改革をやり切る」と平井一 夫社長は繰り返しているが、成果が出る前に業績の下方修正を強いられ た。モバイル事業は中国勢の台頭などで競争環境が厳しくなっており、 今後は高い収益性が期待できる国・地域に経営資源を集中するととも に、普及価格帯のモデルを絞り込むなどの方向性を示した。

平井社長は会見で「私が中心となって不退転の決意で業績を回復し ていく。早い段階で復配し、事業を立て直していくのが一番の責任だ」 と述べ、辞任という形で経営責任を取る考えのないことを示した。

独立系調査会社アドバンスト・リサーチ・ジャパンの石野雅彦アナ リストは、ソニーが期初からモバイル端末の販売台数を下方修正してい たことを理由に、業績修正は「もっと早くやるべきだった」と指摘す る。その上で、株主総会で平井社長らの報酬を決めた後に下方修正した ことに、「これでは事業責任が問われる」と述べた。

打ち止め感ない下方修正

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「ソニーは何 度も下方修正している。また今年もかという感じだ」と電話インタビュ ーで話した。株価について「業績が良くなったと思っていて期待感で上 げていたが、これで下方修正が終わりかどうか分からない」と述べた。

SBIアセットマネジメントの取締役運用本部長の木暮康明氏は、 中長期的にモバイル部門の「収益に限界があるというのを認めざるを得 なかった」とした上で、「当初はスマホやタブレットの収益の大幅な増 加を見込んだが、結果としてシェア拡大できなかった」と話した。

ソニーの広報担当、今田真実氏は電話取材に、減損はソニー・エリ クソン・モバイルコミュニケーションズを完全子会社化した時に比べて モバイル事業の公正価値が減少したことによると説明した。ソニー・エ リクソンはソニーとスウェーデンのエリクソンが2001年に設立した携帯 事業の合弁会社。

同社は7月末の決算発表時にモバイル事業の中期計画の見直しに入 ったと発表し、減損の可能性があることを明らかにしていた。

平井社長は会見で、モバイル事業について、ゲームやセンサー事業 と並ぶ重要分野だと述べるとともに、スマホの次の商品分野に打って出 る土台をスマホで作りたいと語った。

--取材協力:天野高志.

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