【コラム】「6」発売遅延とアップルCEOへの誘惑-ミンター

世界最大のスマートフォン 市場である中国で、米アップルにとって厳しい年が続いている。安価だ がスタイリッシュな中国製スマホが同社の販売と優位さを脅かしている 上に、中国政府は繰り返しアップルを狙い撃ちする。国営メディアは昨 年春、同社の保証修理を批判するキャンペーンを展開。今夏にはアップ ル製端末が中国の国家機密を脅かすリスクがあるとかみついた。

どこまで状況が悪化するのか。アップルが米カリフォルニア州で 「iPhone(アイフォーン)6」などの新製品を発表した翌日の今 月10日、中国の大手通信3社は新型アイフォーンのオンライン予約申込 書を取り下げた。アップルが中国での新型アイフォーンの発売が遅れざ るを得ないと通信各社に伝えてきたためだ。アップルは中国向けウェブ サイトで、発売日について近く情報を提供するとしているが、当初は台 湾などの10以上の国・地域と同じ9月26日の中国本土での発売を予定し ていた。

自然とうわさが広がった。サプライチェーンで問題が生じたという 指摘もあれば、新製品情報が発表前に中国から漏れたことに対するアッ プルの報復だとの臆測も飛び交った。一番もっともらしい説明は、中国 紙、21世紀経済報道が掲載したアップルの新製品がまだ「ネットワーク アクセス」の免許を中国当局から取得していないという記事だ。従来の アイフォーンは発売数週間前に免許を受け、それが公表されていた。だ が今回はそういう動きは見られていない。

その理由が何であれ、アップルにとっては後退だ。2013年9月の 「5s」と「5c」発売は節目だった。新型アイフォーンが米国と中 国、それに幾つかの国での世界初登場となったのだ。それまで中国では 他市場に数カ月遅れての発売だった。今回の発売遅延は、アップルの中 国政府への働き掛けがもっと必要だということか、もしくは国内スマホ メーカー勢いを得ているこの時期に中国政府にはアップルを手助けす る十分な理由を見いだせなかったということかを示唆している。

真の理由

恐らく後者が真の理由だろう。通信会社をいら立たせ、極めて熱心 なアップルファンを失望させた発売遅延が、アップルや中国市場にどん な影響を与えるか判断するには時期尚早だ。新型アイフォーンが中国 で12月まで発売されないかもしれないとのうわさがあるが、発売が遅れ るほど、中国のファンは以前のように非正規ルートで新製品を手に入 れ、本土の通信会社の収入は損なわれるだろう。中国メーカーの上位機 種にシフトする顧客もいそうだ。

だが、もっと大きな影響が及ぶのはアップルの中国に対する考え方 かもしれない。ティム・クック最高経営責任者(CEO)はいつの日か 中国が米国を抜き同社にとって最大の市場になると予測している。だが 一難去ってまた一難という中国本土での状況で、同CEOは時折そうし た予測を撤回する誘惑に駆られているに違いない。 (アダム・ミンター)

(上海を拠点に活動するミンター氏はブルームバーグ・ビューに定 期的に寄稿しており、コラムの内容は同氏自身の見解です。同氏のツイ ッターは@AdamMinter

原題:China Delay of IPhone 6 May Signal Something More: Adam Minter(抜粋)

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