【日本株週間展望】3週ぶり反落、負の円安と米英日程を警戒

9月3週(16-19日)の日経平均株 価は3週ぶりに反落しそうだ。6年ぶりの水準まで円安が進み、輸入コ ストの上昇など国内経済への負の影響が懸念され始めた。米国の連邦公 開市場委員会(FOMC)、スコットランドの住民投票は為替の変動材 料になる可能性があり、投資家は一段のリスクを取りにくい。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏 は「スーパーなど小売りや食品など円安が原材料高につながる『輸入関 連株』への売りが目立ってきた。一気に1ドル=110円というよりは、 そろそろ口先介入が出てくる水準」とみる。

また同氏は、現状の日本株は昨年のような長期資金による買いでは なく、「『円売り・日経平均先物買い』が裁定買いを誘うデリバティブ 主導で、どこかで巻き戻さなければならない脆弱(ぜいじゃく)さを抱 えるディーリング相場」と指摘。FOMCの声明やスコットランドの投 票結果次第で、これまでの流れが変わるリスクがあると言う。

第2週の日経平均は週間で1.8%高の1万5948円29銭と続伸。米長 期金利の上昇を受けた日米金利差の拡大を材料に、ドル・円相場が1ド ル=107円台と2008年9月以来の円安水準に振れ、企業業績の先行きを 楽観視する買いが優勢だった。輸送用機器や機械など輸出関連株が高 く、指数への影響力が大きいソフトバンクなど情報・通信株も上昇。一 方、日経平均構成銘柄の下落率上位には大成建設など建設株のほか、ア サヒグループホールディングス、日本ハムなど食料品株が並んだ。

米長期金利が上昇基調

16、17日に米国の金融政策を決めるFOMCが開かれる。連邦準備 制度理事会(FRB)のイエレン議長は、これまでの発言から早期の利 上げに慎重と市場ではみられてきたが、欧州の追加金融緩和で相対的に 米経済の良さに投資家の視線が向き、ここへきて早期利上げはないとの 見方に修正が入り始めた。米長期金利は2.5%台と、1カ月半ぶりの水 準に上昇している。

先物ブローカーの英ED&Fマン・キャピタル・マーケッツのトー マス・ディガロマ氏は、「米金融当局の政策をめぐり神経質になってい る。量的緩和の終了が近づいているが、当局が若干タカ派的なことを示 すリスクは常にある」と話す。

米当局者の間でも早期利上げの必要性を指摘する声はあり、フィラ デルフィア連銀のプロッサー総裁は米経済がFRBの目標に大きく近づ き、目標達成まで金利をゼロ近辺に据え置くことは「危険な戦略だ」と 発言。サンフランシスコ連銀のリポートは、「FRBのガイダンスは現 在と今後のデータにどれだけ左右されるか、一般の人が十分重視してい ない可能性がある」と指摘した。

FOMC声明や議長会見の内容に変化があるか、18日にスコットラ ンドで行われる英国からの独立是非を問う住民投票で独立賛成の結果が 示されれば、「ドル高要因になろう」と三菱モルガン証の藤戸氏。しか し、「イエレン議長が労働市場のスラック(たるみ)発言を繰り返し、 スコットランドの独立はないという常識的結果なら、為替が反転しても 不思議ではない」とみる。米商品先物取引委員会(CFTC)の直近デ ータによると、ファンド勢の円売りポジションは11万枚を超え、6週間 の間に2倍以上に膨らんでいる。

国内景気の低調も重し

第2週に東証1部全体の値動きを示すTOPIXは年初来高値を更 新、08年7月以来の水準を回復したが、日経平均は節目の1万6000円を 突破し切れず、もたつき感がある。要因の1つは、個人消費や設備投資 など国内景気の低調だ。

8月の景気ウオッチャー調査は、現状判断DIが前月比3.9ポイン ト低下の47.4と4カ月ぶりに低下、先行き判断も1.1ポイント低下 の50.4と3カ月連続で悪化した。バークレイズ証券のチーフエコノミス ト、森田京平氏は「消費税増税後の反動減は徐々に薄らいでいるもの の、天候要因などもあり、景気回復のペースが緩やかなものにとどまっ ていることをあらためて映し出した」と指摘する。

実質国内総生産(GDP)は、4-6月期改定値が前期比年率マイ ナス7.1%とリーマン・ショック間もない09年1-3月以来の落ち込み となり、設備投資の下方修正が足を引っ張った。バークレイズ証では、 7-9月期はプラス3.7%と潜在成長率を上回る水準への回帰を見込む が、「届かないリスクもある」としている。

9月末が接近し、内外機関投資家からは期末対応の売りが出てきや すい。12日までの今年度の業種別上昇率のトップは建設で、米景気の堅 調を受けた化学や非鉄金属など素材関連、機械や電機など輸出関連、食 料品が上位に並んだ。足元の建設や食品株の軟調は季節的な売り圧力を うかがわせ、特に食品など消費関連には国内経済統計の低調、輸入コス トの上昇など円安のデメリットものしかかる。

菅義偉官房長官は11日の定例会見で、円安の日本経済への影響につ いて「メリット、デメリットがある」と述べた。三井住友信託銀行によ ると、円実効レートが1%下落した際に輸出物価が0.76%押し上げられ るのに対し、輸入物価は0.98%上昇する結果が得られている。

このほか、第3週に注目される材料は国内で18-21日に東京ゲーム ショウ2014が開かれる。日本ゲーム大賞も発表され、直近で低迷してい た関連銘柄への投資人気が再燃する可能性もある。昨年の経済産業大臣 賞は「パズル&ドラゴンズ」、年間作品部門大賞は「とびだせ どうぶ つの森」だった。米国では、15日に8月の鉱工業生産、18日に住宅着工 件数が公表予定だ。

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