ANA:国際貨物は大国インドを視野-沖縄ハブは発展段階に

ANAホールディングスは国際貨物 事業で、沖縄をハブとした輸送ネットワークを南アジアに拡大すること を検討している。新しい貨物専用機も2機投入し、同地域などの需要拡 大と物流の変化などに対応する。

新たな専用機の運航先として「インドなど南アジアが有力候補だ」 と、傘下の貨物事業会社ANA Cargoの岡田晃社長が10日のブル ームバーグ・ニュースのインタビューで述べた。「沖縄ハブも5年、こ れから第2ステージに移そうと思っている」という。アジアの航空会社 として初めての試みとなる貨物ハブ拠点設置戦略も、基盤固めから拡 大・発展にシフトする構想。

日本から南アジア最大の経済大国インドに向かう貨物便では、 ANA Cargo総務企画部の高野弘樹氏によると、自動車関連部品 や部材、スマートフォン向けなど電子部品、逆方向の便では衣類が多 い。インドでは自動車の需要増加が見込まれており、他にも同地域には パキスタンやバングラデシュという人口1億人を大きく上回る新興国が ある。

「航空貨物はネットワークで稼ぐ時代に変化しつつある」と岡田氏 は話す。ハブの沖縄との往復だけでなく「第3国を経由して三角で沖縄 に帰ってくるなどいろいろなやり方」を検討しているという。「今まで は規模の経済が中心だったが、貨物のダイヤ競争力やネットワークのバ ランスなどを考慮した時代に変化している」と述べた。

具体例として「沖縄からバンコク、そこからインドに飛ぶこともあ る。旅客便では難しいが、貨物では可能だ」と説明し、これまでの既成 概念にとらわれない発想で事業の拡大に取り組むとした。タイを含む東 南アジア諸国連合(ASEAN)とインドは自由貿易協定を締結してお り、荷動きは近年活発に推移している。

貨物ネットワーク

ANAグループの沖縄ハブは現在、ソウルや上海、バンコク、シン ガポールなど東アジア、東南アジアの海外8都市と羽田など国内の4空 港で貨物ネットワークを結ぶ。現在は貨物専用の10機のボーイング76 7と、旅客機の貨物室などを利用。新たな専用機を15年度中に1機、16 年度までに1機と計2機を導入する方針。

09年に運用を開始した沖縄ハブは、当初4時間圏内で、深夜発で早 朝着が可能な運航ダイヤで展開していたが、バンコク、シンガポールと 東南アジアの高い経済成長を背景に激増する需要を取り込むため4時間 を超え徐々にエリアを拡大。このため、旅客便との兼ね合いも含め調整 する必要が生じている。今後はヤマト運輸など物流会社との提携強化な どにも取り組みハブ事業の収益増を目指す。

独ルフトハンザと貨物でも共同事業

ANAは旅客便では既に独ルフトハンザ航空と米ユナイテッド航空 とそれぞれ共同事業を行っている。ANAは3日、ルフトハンザ・カー ゴと日本-欧州路線での戦略的な航空貨物の共同事業について、国土交 通省からATI(独占禁止法適用除外)の認可を受けたと発表した。航 空貨物による共同事業でのATI認可は世界で初めて。

両社は今後、日欧間の便について運航ダイヤ、運賃、営業など共同 事業の準備を進める。岡田社長は「認可を得て、ようやく本当にルフト ハンザと具体的な話を開始することができる」という。同一運賃提示や 収入プール制の導入などで「事業統合まではいかないが、顧客側からは ほぼ一緒になったように見える」とした。

その上で、岡田社長は、ルフト・カーゴと沖縄ハブ事業との関連に ついて、日本と欧州路線であり直接的には関係はないとした。ただ、日 本から欧州への荷物の約7割が、もともと日本以外のアジア発からのも のだと明かす。今回のルフトハンザとの事業が本格的に始まれば同路線 の年間収入約400億円のうち、両社の増収効果は約10%程度可能との見 通しを示した。

第3の収益の柱

ANAHDでは貨物事業を、国際、国内旅客に続く第3の収益の柱 と位置付けている。14年4-6月期の決算資料によると、同期の国内線 と国際線の旅客収入はそれぞれ1483億円と1092億円だったのに対し、貨 物事業は国内が76億円で国際が293億円。国際貨物事業は前年同期比 で19.6%の伸びだった。

14年3月期の通期連結業績では、国内貨物収入が前期比0.4%減 の321億円、国際貨物は同21%増の1047億円だった。国際線は北米向け 自動車関連部品などが堅調だったほか、沖縄ハブを活用しアジア・北米 間の3国間輸送、さらに需要が見込める路線での臨時便設定が寄与し た。

ANAは日本では唯一の旅客便と貨物専用便を持つコンビネーショ ン・キャリア会社。ANA Cargoは14年4月に貨物事業の戦略や 商品開発、営業まで統括する会社として設立された。ライバルの日本航 空は経営再建を経て、10年10月末に貨物専用機事業から撤退。現在は旅 客便の貨物室を使用したサービスのみ国際・国内事業で続けている。

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