台所で予防接種した母思い、ハーバード大最高額の寄付を決心

ジェラルド・チャン氏が幼少期を過 ごした1950年代の中国では、予防接種を自由に受けることはできなかっ た。そのため、チャン氏の母親は自宅の台所で近所の子供たちに予防接 種をしていた。

看護師だったチャン氏の母親は衛生状態に気を配り、レストランで の食事の際には子供たちの食器をエタノールを染み込ませた綿布で拭い てから食べさせていたほどだ。母親は注射器を清潔に保つため接種をす るごとに注射器を熱湯で消毒した。米ハーバード大学公衆衛生大学院( HSPH)に一族が運営する晨興基金会(モーニングサイド財団)から 3億5000万ドル(約370億円)を寄付することを8日に発表したチャン 氏(63)は、同大での演説でそう振り返った。この寄付は同大の378年 の歴史で最高額となった。

「繰り返し利用した注射針の先が摩耗して予防接種はひどい痛みを 伴った。大勢の子供たちが台所で泣き叫んでいたのもそのためだっ た」。香港の不動産開発会社、恒隆集団の取締役を務めるチャン氏はそ う説明した。

母親が公衆衛生や予防接種に熱意を注いでいたことが、チャン氏が HSPHに寄付をする決心をした理由の1つだ。公衆衛生と予防接種は 過去1世紀の世界の平均寿命延長に寄与した。チャン氏によると、同氏 は1970年代にHSPHで修士号と博士号を取得している。父親で不動産 投資家の陳曽煕(ツェン・シー・チャン)氏の存在も寄付のきっかけと なった。同氏は、多くの友人の子供たちが海外で教育を受けられるよう 資金援助をしていた。

「母親による人々の健康状態の改善と父親による教育支援の取り組 みを引き継ぐためには、HSPHへの寄付が最もふさわしいと兄弟と私 は考えた」とチャン氏は述べた。HSPHは同氏の亡父の名前にちな み、「ハーバード・T・H・チャン公衆衛生大学院」に改名される。

原題:Kitchen Vaccinations Spurred Harvard Alumnus to Make Record Gift(抜粋)

--取材協力:Joshua Fellman.

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