【今週の債券】長期金利0.5%台で上限探る、FOMCに向けた売り

今週の債券市場で長期金利は0.5% 台で上昇余地を探ると予想されている。来週の米連邦公開市場委員会 (FOMC)に向けて売り圧力が掛かりやすいとの見方が背景にある。

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが5日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは 全体で0.50-0.57%となった。前週は6年ぶりの水準まで円安が進んだ ことや米10年国債利回りの上昇などから5日に0.54%と、7月23日以来 の高水準に達した。

前週末発表の8月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが前月比14 万2000人増と市場予想の23万人を下回った。米10年債利回りは一 時2.3%台に低下したが、その後は2.46%に上昇した。SMBC日興証 券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、米雇用統計の織り込みが 終わった後の米金利や為替水準から動きにくい状況と指摘。ただ、「グ ローバル環境次第では若干金利レンジを切り上げる方向かもしれない」 と言う。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは、前週は欧州中央銀行 (ECB)が予想外に追加緩和を実施したため、米利上げが以前にも増 して市場の関心を集めやすくなったと指摘。「国内景況感は低迷してい る。投資家は日銀の資金供給オペと国債大量償還をにらみ、金利上昇時 に買いを入れる姿勢。16、17日のFOMCに向け、どこまで相場調整を 引き付けることができるかの勝負だ」と言う。

30年債入札

9日に30年利付国債入札が実施される。償還日が前回債より3カ月 延びるため、回号は新しくなる。入札前市場で30年物は1.6%台後半で 推移しており、表面利率(クーポン)は前回債と同じ1.7%となる見込 み。発行額は7000億円程度。

30年債入札について、大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファ ンドマネジャーは、順調に消化できると予想する。「入札に向けたヘッ ジ売りがしっかり入っているほか、利回り曲線上で相対的な割安感も強 い」と説明した。

11日には5年利付国債入札が行われる。発行額は前回債と同額の2 兆7000億円程度。クーポンは前回債と同水準の0.2%となる見込み。

長期国債先物市場では、中心限月9月物の取引最終日を10日に控え て、週前半は限月交代に伴う売買が活発化する見込み。9月物と12月物 の限月間スプレッド取引では日中売買高が2日連続で1兆円を超えた。

市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。先物は12月物、10年 国債利回りは新発物の335回債。

◎大和住銀投信投資顧問の奥原健夫シニアファンドマネジャー

先物12月物145円40銭-145円90銭

10年国債利回り=0.50%-0.55%

「長期金利0.5%台半ばまでの上昇はありそう。4日のECBの利 下げ自体はサプライズだったが、これによって市場ではいったん出尽く し感が広がった。米経済は回復基調を維持しており、米長期金利には FOMCに向けて上昇圧力が掛かりそう。米国やドイツの金利が短期的 に底を付けたとの見方から国内債にも売りが出やすい。長期金利 が0.5%割れで定着するには景気後退色が強まる必要がある」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物145円40銭-146円00銭

新発10年債利回り=0.50%-0.56%

「予想外のECBの追加緩和決定を受け、米金融政策見通しが注目 される。米量的緩和終了後の利上げに関する姿勢が焦点になる。今週実 施の30年債と5年債の入札は基本的に無難な結果になるとみている。海 外の重要イベントにも動じず、国内債市場には売り手がいない状況とあ っている。発行した国債は日銀に流れていく構図だ。金利が低くても入 札が悪くなる要素は見当たらない」

◎三井住友アセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジスト

先物12月物145円35銭-146円10銭

10年国債利回り=0.50%-0.57%

「長期金利は入札後に新回号となったこともあり、0.5%台に上昇 したが、大きな材料が出ているにもかかわらず、あまり動いていない。 外部環境面から利回りはもう少し上昇しても良いと思っているが、ちょ っと金利が上昇するとすぐに買いが入り、売りは続かない。需給の良さ が効いている。利回りは若干のスティープ化が予想されるものの、数ベ ーシスポイント程度で収益機会になる動きは伴いにくい」

--取材協力:赤間信行.

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