【日本株週間展望】じり高、新内閣のGPIFや女性政策期待

9月2週(8-12日)の日経平均株 価は、1万5000円台後半でじり高となりそうだ。第2次安倍改造内閣が 始動、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革期待などを 背景に為替が円安傾向にあり、企業業績に楽観的な見方が広がりやす い。女性活用政策の強化にも投資家の注目が集まる。

岡三証券の日本株式戦略グループ長、石黒英之氏は「8月前半の急 落場面から信託銀行経由の買いが続き、足元のマーケットは年金資金の 買いに期待している」と指摘。円安も「需給やテクニカル主導の1月時 と違い、米国経済の良さを背景にした息の長い相場」と見込み、日本株 市場のサポート要因と捉えている。

第1週の日経平均は、週間で1.6%高の1万5668円68銭と反発。供 給管理協会(ISM)の製造業景況指数など米国経済統計の堅調に加 え、GPIFの改革派と市場でみられていた塩崎恭久元官房長官の厚生 労働相就任などを材料に、ドル・円相場がドル高・円安に振れたことが 好感された。5日の為替市場では一時1ドル=105円70銭台と2008年10 月以来、およそ6年ぶりの円安水準を付けた。

野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は、先般明らか になったGPIFの4-6月期の運用状況では「市場の憶測とは裏腹 に、運用の積極化に動いていなかったことが明らかになった」と言う。 対照的に、9月以降の外国証券買い余力は公的年金合計で約15兆円と試 算し、今後発表されるGPIFの新基本ポートフォリオ、米連邦公開市 場委員会(FOMC)の「日米イベントに際し、ヘッジファンド勢の円 売りが加速する可能性が高い」とみる。

GPIFが8月29日に公表した6月末の運用状況は、国内株比率 が17.26%と8年ぶりの高水準になる半面、国内債は53.36%と比較可能 な01年12月末以降で最低だった。外国債11.06%、外国株15.98%でとも に過去最高。ただ、現在の目標値である国内株で12%プラス・マイナス 6%、外国債で11%プラス・マイナス5%、外国株で12%プラス・マイ ナス5%に対し、許容幅の範囲内だ。

政府が6月に閣議決定した日本再興戦略改訂版では、資産構成の見 直しをできるだけ速やかに実施すると明言。塩崎厚労相は4日の会見 で、GPIFの運用とガバナンス両面で早期の改革に意欲を示した。国 内債に偏った年金資産のポートフォリオが修正され、株式や外国証券な どリスク資産のウエートが高まれば、日本株には自身の比率上昇と円安 の双方から好影響が及ぶ。

米経済の堅調も直近の円安進行要因だ。実際の数値が市場予想から 上振れたことを示すシティグループ経済サプライズ指数は、4日に47と 1月末以来の高水準を記録。ドル高・円安観測の強まりは、米商品先物 取引委員会(CFTC)のデータでファンド勢の円売りポジションが1 月以来の10万枚超となっていることからも分かる。

小型から大型、1万6311円が岐路

為替のこう着、消費税増税後の国内景気の低迷などが重しだった日 本株も、円安や内閣改造を経た政策期待の再燃で1月以来の1万6000円 が視野に入り始めた。東証1部の時価総額・流動性上位30社で構成され るTOPIXコア30指数と小型株のスモール指数のスプレッドは、1日 に911と安倍政権発足以来で最も小型株優位となった状況から、足元で は反転している。大型株回帰が強まれば、指数は押し上げられやすい。

大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏によると、 「9月末に日経平均が1万6311円以上ならば、下半期の上昇を示唆」す るという。同数値は、前年度末の1万4827円83銭から10%高い水準。

同氏が1970年度以降で年度を上半期、下半期に分けて日経平均のパ フォーマンスを見たところ、上半期に10%以上上昇したケースは10回あ り、全てで下半期も上昇した。下半期の平均上昇率は14.6%と高く、ア ベノミクス相場に沸いた13年度も該当する。

女性登用が公共工事の入札条件に

GPIF改革と並び、新内閣の布陣から注目を浴びる政策が女性の 活躍促進だ。有村治子参院議員が担当相として初入閣するなど、新閣僚 と自民党3役の女性合計数は6人と過去最多。日本再興戦略では、20年 に指導的地位に占める女性の割合30%を目標としている。

SMBC日興証券のチーフ株式ストラテジスト、阪上亮太氏は 「『第3の矢』の中心施策である女性の活躍推進に政権として率先して 取り組んだ形。今後重点的に取り組まれる可能性が高い」とみる。

6月9日に入札公告された山形県の公共建設工事(橋梁)では、競 争参加資格の1つに女性技術者の配置条件が課されており、企業業績に 影響を及ぼす動きも出始めている。帝国データバンクが8月に公表した 全国約1万1000社を対象にした調査結果では、女性管理職が10%未満の 企業は81%。一方、女性の活用と登用を進めている企業は45%で、女性 の働きやすさを整備する動きは今後加速しそうだ。

東証では毎年度、東証1部上場企業の中で女性が働き続けるための 環境整備、女性人材の活用を積極的に進めている企業を「なでしこ銘 柄」として選定、13年度は26社が選ばれた。2年連続の選定企業は東 レ、旭硝子、住友金属鉱山、日産自動車、ニコン、東京急行電鉄、 KDDIの7社だった。

第2週は8日に8月の景気ウオッチャー調査、10日に7月の機械受 注、11日に7-9月期の法人企業景気予測調査など国内で経済統計の発 表が多い。安倍晋三首相は内閣改造後の会見で、消費税10%への引き上 げをめぐる質問に「7月、8月、9月の経済の回復を含め、経済状況等 を総合的に勘案した上で年内に判断する」との立場を強調。重要な材料 が今後続くことになる。このほか、12日は株価指数先物・オプションの 特別清算値(SQ)算出で、先物主導の荒い展開には要注意だ。

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