ドル・円は105円台前半、一時6年ぶり高値-米雇用統計見極め

東京外国為替市場ではドル・円相場 が1ドル=105円台前半で推移。日米金融政策の方向性の違いを背景 に、一時は約6年ぶりの水準までドル高・円安が進んだ。

ドル・円相場は午前に一時105円71銭と、1月2日に付けた2008 年10月以来のドル高値(105円44銭)を更新。その後は105円24銭まで水 準を切り下げ、午後3時5分現在は105円33銭付近で取引されている。 主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル・ インデックスは一時83.973と、昨年7月以来の水準まで上昇した。

みずほ銀行国際為替部の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト は、「104、105円台に至るまでは日米の金融政策格差が意識されてい た」とし、対ユーロでのドル高進行が後押しとなったと説明。その上 で、先に発表された米供給管理協会(ISM)指数などを見る限り「き ょうの雇用統計もいいのだろうという思いも効いている」としている。

麻生太郎財務相は5日午前の閣議後会見で、ドル・円相場が6年ぶ りの高値を付けたことについて「急激な上がり下がりは最も好ましくな い。緩やかな形で上がり下がりするのが為替として正しい」と述べた。

この日の米国時間には8月の雇用統計が発表される。ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想の中央値によると、非農業部門の雇用 者数は前月比で23万人の増加が見込まれている。前月は20万9000人増だ った。失業率は6.1%と、前月の6.2%から改善が予想されている。

唐鎌氏は、来月にかけて「米国で金融緩和の終わりの始まりが完全 に見えてくる」とし、「そこが意識された相場になるのではないか」と 指摘。ドルは来月までに108円に上昇し、同水準が年内の高値になる可 能性があるとみる。

ドル買いバイアス

米ISMが4日に発表した8月の非製造業総合景況指数は59.6 と、05年8月以来の水準に上昇。市場予想の中央値57.7を上回った。

ノムラ・インターナショナルの後藤祐二郎シニアFXストテジスト (ロンドン在勤)は、日米の「金融政策の方向感の違いは一段と際立っ ている状況」と指摘。米経済指標の好調を背景に、今月16、17日の連邦 公開市場委員会(FOMC)に向けて「ドル買いバイアスで行こうとい うスタンスは強い」と話していた。

ECBは4日の金融政策決定会合で、大方の予想に反して利下げを 決定。また、資産担保証券(ABS)とカバード債を購入する計画も発 表した。ドラギ総裁は、「全体的なインフレ見通しの弱さに加え、成長 の勢いが最近になって弱まってきたことを考慮した」とし、「経済見通 しに対するリスクは下向きだと政策委員会は考えている」と述べた。

後藤氏は、ECBの政策決定に関して、「インフレが弱い状況が続 く中で、インフレ圧力を上昇させるためにそれなりに積極的な姿勢を出 してきたという感じはある」と指摘。「特に対ドルでまだもう少し下値 余地はある」と言う。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.2920ドル と、昨年7月以来の水準までユーロ安・ドル高が進行し、東京市場で は1.29ドル台前半で取引されている。ドルは対ポンドで一時1ポンド =1.6287ドルと2月6日以来の高値を付けるなど、主要通貨に対してド ルの強さが目立つ。

日銀は4日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致 で決めた。黒田東彦総裁は同日の会見で、為替相場について「米国経済 は非常に着実に回復を続けており、米国の金融政策もテーパリングが終 了しようかというところまできている。一方で欧州、あるいは日本は引 き続き緩和的な金融政策が続くという状況の下、ファンダメンタルズと しては、ドルが強くなっていくことは何ら不思議でない」と述べた。

--取材協力:大塚美佳、小宮弘子.

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