地政学リスクは株売りサインでない-キューバ危機後は34%高

地政学的リスク--。今、この言葉 を口にしない投資家はいない。

ブルームバーグニュースの記事にこの言葉が登場した回数は8月に 急増し、2008年の金融危機の最中以来の頻度だった。バンク・オブ・ア メリカ(BOA)のアナリストらの分析によれば、現在では世界の人口 の11%が紛争の影響下で暮らしている。同行の調査によれば、投資家 の86%が市場を脅かす最大のリスクが地政学的要因だとみている。

一方で、ウクライナやシリア、ガザによる影響をさほど懸念してい ない投資家もいる。クラインオート・ベンソン(ロンドン)で57億ポン ド(約6000億円)の運用に携わるムハメド・シュキア最高投資責任者 (CIO)は、歴史を味方に付けているという。

「紛争が激しくなる、あるいは緊張が高まればディフェンシブな資 産配分が望ましいと結論付けるのはたやすい」と同氏は今週のリポート で指摘。「金融の歴史から得られる教訓はそうではない。地政学的リス クが中長期にわたって株式市場に影響することはまれだ」と説明した。

同氏によれば1950年以降起きた地政学的な危機16件のうち、危機発 生から1年後もS&P500種株価指数を押し下げたものは4件だった。

62年10月のキューバ危機を振り返ってみよう。このミサイル危機の 発生時にS&P500種に投資していれば、1年後に34%のリターンが得 られた。

中東戦争、対米同時多発テロ

67年に起きたイスラエル6日戦争(第3次中東戦争)もそうだ。危 機発生時に投資していれば、1年で13%のリターンだ。79年12月のソ連 のアフガン侵攻の場合は、1年後の想定リターンは30%。2003年の米軍 イラク侵攻の場合は35%のリターンが想定される。

だからといって、紛争は買いのサインだと言うのではない。1973年 に起きた第4次中東戦争の場合は、これに伴う石油禁輸措置の影響で S&P500種は35%急落した。2001年9月11日の対米同時多発テロ攻撃 では、投資家は1年間で16%の損失を被った。

シュキア氏が心配すべき最大の要因と位置付けるのは、緊張によっ てインフレが誘発される可能性だ。原油価格は今年に入って5%下げて おり、今のところそのリスクは低いという。

「地政学的な緊張に関するニュースは今後数カ月も紙面を賑わすだ ろう」と同氏は指摘。「こうした材料は短期的には間違いなく市場を不 安にさせるが、中・長期的なパフォーマンスへの影響は非常に小さい可 能性が高い」と述べた。

原題:Why Geopolitics Is No Reason to Sell the S&P as History Says Buy(抜粋)

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