【今日のチャート】アルミ空き缶に資源バブル再来-約6年ぶり高値に

アルミニウムの空き缶の価値が上昇 している。ロンドン金属取引所(LME)のアルミ価格上昇に加えて、 海外への輸出増加で国内需給がひっ迫。アルミ缶スクラップの価格は資 源バブルに沸いた2008年以来、約6年ぶりの高値を付けた。

今日のチャートは横浜市が毎月公表するアルミ缶の入札価格の推 移。平均で月400トン弱と自治体による売却量としては最大規模で、国 内アルミ缶スクラップの価格動向にも影響を与える。アルミ缶スクラッ プは地金に再生され、再度アルミ缶製造や自動車部品などに使われる。

8月26日の入札。10月引き渡し契約分で、1キロ当たりの落札金額 は181円を付けた。これは08年11月引き渡し分の212円以来の水準。グラ フは13年9月を基準とした価格の騰落率。落札価格はLMEアルミ価格 の上昇率を上回っている。

こうした価格上昇に「行き過ぎ感がある」と指摘するのは、アルミ 缶などのスクラップ原料を取り扱う三井物産メタルズ・軽金属原料部の 森脇和生副部長。「LMEアルミ価格の上昇が背景にあるが、アルミ缶 スクラップの価格は完全にバブル」といい、投機的な資金流入も価格を 押し上げているとみる。

アルミ缶スクラップの需給にも異変が生じている。12年末から韓国 向けの輸出が急増した。世界的なアルミ企業の米ノベリスが同年10月に アジア最大規模となるアルミ缶スクラップの再利用設備を韓国で稼働。 アルミ缶リサイクル協会などによると、高い稼働率を維持するために韓 国内だけの回収では足りず、日本など海外からの調達を増やしている。

アルミ缶の値上げ交渉も

アルミ缶スクラップがどのくらい輸出されているのか正確な統計は ない。スクラップ原料からアルミ地金を製造する大紀アルミニウム工業 所の調査では、6月に約5000トンのアルミ缶スクラップが韓国に輸出さ れた。今年1-6月の月平均では約3000トンと高水準の輸出が続いてい るという。横浜市が回収する量の7-8カ月分に相当する規模だ。

大紀アルミの山岡正男取締役は「これだけの量が輸出されると、日 本市場に与える影響は大きい」として、韓国向けの輸出増加がアルミ缶 スクラップの価格上昇を招いていると指摘。需給ひっ迫で原料確保も難 しく、同社では顧客からの注文には完全に応じきれていない状況だ。

子会社でアルミ缶を製造する昭和電工。広報室の矢崎朋子氏は、ア ルミ缶スクラップなどを利用したアルミ再生地金の価格は鉱石から作る 新地金並みに上昇しているといい「スクラップ原料としてのメリットが なくなってきている」と話す。電気代上昇なども重なり「経営努力の限 界を超えた」として、ビール会社など顧客先の飲料メーカーと来年出荷 分のアルミ缶の値上げ交渉に入る方針を明らかにした。

回収率の高さから「リサイクルの優等生」とも称されるアルミ缶。 アルミ缶リサイクル協会によると12年度のリサイクル率は94.7%に達し た。ところが、韓国向け輸出が急増した影響で13年度は83.8%と10ポイ ント以上も急落。03年度以来の低水準となった。

こうした事態に経済産業省非鉄金属課の松本暢之課長補佐は「リサ イクルすることで資源を日本国内にとどめる効果もあり、国内のアルミ のリサイクル・システムの維持構築は重要だと考えている」と指摘。ア ルミ缶スクラップの大量の輸出は問題視しているとの認識を示した。

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