シングルマザー率いるデモ、待遇改善へ世界のカジノ王に挑む

クロイー・チャオさんは、世界最大 のカジノ拠点であるマカオで、カジノを運営する富豪たちに最初に闘い を挑む決意をした時のことを覚えている。2012年当時、2人の子供を持 つシングルマザーのチャオさん(34)はマカオのカジノで働いていた。 他の人が吸ったたばこの煙がひどく、黒い痰(たん)が出るようになっ た。

「咳が止まらなくなり、恐ろしくなった。私が死んだら娘たちはど うなるのだろうと思った」

チャオさんは当初、空気の浄化を求めて労働組合を結成した。勤務 先のウィン・マカオなどのカジノ運営会社が労組の要求を無視したた め、対立は深まった。それ以降、チャオさんは数千人を動員し、賃上げ と就労環境の改善を求めて奮闘している。今年は7回にわたってデモを 実施し、マカオのカジノ業界では過去最大の労働争議となっている。

デモは、世界で最も実入りが良い事業の1つであるカジノ業界の利 益を脅かしている。元ポルトガル領であるマカオのカジノ業界の売上高 は過去10年間に10倍に増加し、昨年には452億ドル(約4兆7300億円) に達した。これは米ラスベガスの7倍に相当する。

カジノ運営会社を率いるのは、米ラスベガス・サンズのシェルド ン・アデルソン会長やウィン・リゾーツのスティーブ・ウィン会長、ギ ャラクシー・エンターテインメント・グループ(銀河娯楽集団)の創業 者、呂志和氏ら富豪たちだ。

チャオさんが率いる労組が先週実施したデモには少なくとも1400人 が参加。カジノ従業員によるデモとしては今年に入って最大規模となっ た。中国本土での汚職取り締まりの影響で大金を賭ける客足が遠のいて いるため、マカオのカジノ業界の売上高は鈍化している。

原題:Single Mom Battles Billionaire’s Casinos With Protests in Macau(抜粋)

--取材協力:Vinicy Chan.

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