消費増税先送り「はるかに厳しい選択」-高橋日本総研理事長

経済財政諮問会議の民間議員を務め る高橋進日本総合研究所理事長は、4月の消費税引き上げの反動が残る 中で景気が低迷していることから消費税率10%への引き上げが先送りさ れるとの見方について、増税より「はるかに厳しい選択」と述べた。

高橋氏は1日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、消 費増税によって「デフレ脱却の動きを止めてはいけない」としながら も、「国際的な財政に対する信任を失うことは同じように問題だ。目先 の財政健全化目標を崩すことは簡単な話ではない」と語った。

関係者によると、日銀の黒田東彦総裁は2015年10月の2回目の消費 増税についても予定通り実施するよう政府に求める意向。増税で景気が 落ち込み、2%の物価目標の達成が危うくなれば追加緩和も辞さない構 えだ。

安倍晋三首相は7-9月期の国内総生産(GDP)の結果などを踏 まえ、年末にも来年10月からの消費税率引き上げを決断する。しかし、 4-6月期のGDP速報値は増税前の駆け込み需要の反動で前期 比1.7%減(年率6.8%減)と2四半期ぶりの大幅なマイナス成長とな り、市場関係者の間では先送りの可能性も浮上している。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは4-6月期 のGDP発表後のリポートで、「国内景気がけん引役不在に陥ってい る」と指摘。その上で、「7-9月期に景気が上向く力が弱いようだ と、来年10月の消費税率引き上げは先送りするという判断を安倍首相 が12月に下す可能性が高くなる」と予想した。

高橋氏は政府が掲げる15年度の基礎的財政収支の対GDP比の赤字 半減目標の達成は「当然、譲れない線として考えた上での判断になる」 と指摘。増税の決断は景気の腰折れを回避するための「経済パッケー ジ」と抱き合わせになるとの見通しを示した。

その上で「景気の波だけで一喜一憂し、増税を判断すべきではな い。1年近く先の増税時期まで展望して景気回復、経済再生の動きが続 くのか見極めた上で決断することになる」とも指摘。年度内に補正予算 を編成しても景気を持ち上げる必要があるのか、来年度本予算である程 度手を打つべきなのか、難しい判断が迫られるとみている。

高橋氏は、経済対策の具体的な内容について政府が来年度から実施 予定の法人実効税率の引き下げのほか、追加金融緩和、公共投資など政 府支出の拡大や消費へのてこ入れ策などを挙げる。一方で、来年4月の 統一地方選を念頭に政府が力を入れている「地方創生」関連のばらまき にならないようコントロールする必要性を強調した。

公共投資についても「建設業界は労働需給だけでなく、資材もひっ 迫し、コストアップになっている中で追加的な公共投資がどこまで実体 経済の持ち上げにつながるのか。公共投資で民需を下支えする効果につ いてあらためて見極める必要がある」との見解を示した。

法人税率は最低でも2%下げを

年末の税制改正の焦点となる法人実効税率の引き下げ幅について は、来年度に「最低でも2%は引き下げてほしい。20%台にまで下げる といって初年度から非常に小さな引き下げ幅では期待に応えることにな らない。出来る限り大幅な減税をやってほしい」と要望した。

安倍首相は成長志向に重点を置いた法人税改革の必要性を訴え、来 年度から数年間で20%台に引き下げる方針を表明。政府が策定した「経 済財政運営と改革の基本方針2014(骨太の方針)」にも明記した。諮問 会議の民間議員は25%を目指すよう求めている。

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