みずほ:日本株アナリストから「投資銀行家」への転向を後押し

みずほフィナンシャルグループは、 日本株の調査を行うアナリストが投資銀行業務を行うインベストメント バンカーに転向することを後押ししていく方針だ。みずほ証券の長手洋 平シニアエグゼクティブが明らかにした。

みずほ証の長手グローバル・パンアジア・エクイティヘッドはブル ームバーグ・ニュースとのインタビューで、自社アナリストに、バンカ ーに転向し日本企業が市場からの資金調達や合併・買収(M&A)など 収益を拡大するための助言を行う機会を、積極的に与えていく考えを示 した。

みずほFGと三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友FG のメガバンクは貸し出しによる収益が伸び悩む中、手数料収入を増やす ため投資銀行業務の拡大を模索しており、競争は厳しさを増している。 日本の上場企業の約7割を取引先に持つみずほは大企業との関係を強み に、引き受けやアドバイザリー業務を強化している。

金融スペシャリストに特化した人材コンサルティングKANAEア ソシエイツの阪部哲也代表は、「業界再編につながるようなビックディ ールをやる際、アナリストが持つセクターの深い知識や将来の市場動向 などを予見する能力は有効だ」と指摘。一方で、「企業を評価する」と いう立場からフィーを企業から「稼ぐ」立場に変わるため、これまでの 経営トップとの「距離感」やビジネス上の「メンタリティー」の変更を 迫られるだろうと難しさにも言及した。

みずほ証ではすでに日本株アナリストがバンカーに転向する動きが 出始めている。半導体や精密機器メーカを担当していた大森栄作氏は7 月、電気・精密機器などの企業を担当するバンカーに、また運輸業界を 調査していた国枝哲氏は1月、運輸・物流業界のバンカーになった。

「有意義な仕事」

米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチから2012年にみ ずほ証に移籍した長手氏は8月25日のインタビューで、「みずほはコー ポレートバンクのカルチャーを持っており、そこにエクイティマーケッ トのカルチャーを持った人材を送りこみ、それを融合させることで顧客 企業にプラスな説明ができる」と語った。また今後は担当転換などの人 材流動化を「積極的にやっていきたい」との方針を示した。

ブルームバーグ・データによれば、みずほは株式引き受け業務で は14年は現在5位、M&A助言では10位で、三菱UFJやSMFGの証 券子会社よりランキングは低い。

金融機関向けコンサルティングのエグゼクティブ・サーチ・パート ナーズの小溝勝信代表取締役は、「エクイティアナリストで投資銀行業 務に携わりたいと思う人は多く、ファイナンスやM&Aなど企業の生死 を左右し得る重要で有意義な仕事だと思っている」と述べた。また、ア ナリストは「企業分析ができ、経営トップへの人脈もある」と投資銀行 業務を行う上での強みについて話した。

KANAEアソシエイツの阪部氏は、「保守的だったみずほのこう したチャレンジは興味深く注目に値する」と述べた。

日本株強化へ

みずほ証ではこのほか日本株の調査と営業体制も強化する。長手氏 (46)によれば、調査では年内にもテクノロジーと素材(化学など)の 分野でアナリストを外資系証券などから起用する。また現在約70人の営 業体制を強化するため、セールスとセールストレーダーを5人程度アジ ア、欧州、米州で採用する計画だ。日本企業のカバレッジは14年3月末 時点の440社から来年3月をめどに480-500社程度まで増やす方針。

長手氏は株式相場は年末までの数カ月で大きく上昇する可能性があ るとみている。企業業績は消費増税後も期待より高く、上方修正の公算 が出てきていることや、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) の株式投資の拡大が見込まれることから、「日本から欧州に行ったお金 が、日本に流れてくる可能性が十分にある」と指摘した。

2日の日経平均株価の終値は前日比1.2%上昇の1万5668円60銭と 1月23日以来の高値となった。みずほFG株は同1.7%高の202円と約3 カ月ぶりの上昇率で取引を終了した。

「使命」

みずほは9月3日から東京で投資家フォーラムを開催する。国内外 から過去最高の約2000人の機関投資家が参加する見込みだ。5日には甘 利明経済再生担当相が「アベノミクスの今」と題して基調講演を行う予 定。

また同フォーラムでは日本企業約300社と投資家との個別ミーティ ングが予定されている。みずほ証によれば外国人投資家からリクエスト の多かった企業10社は、楽天、ダイキン、ブリヂストン、サイバーエー ジェント、コマツ、スタートトゥデイ、日本電産、ホンダ、KDDI、 ソフトバンク。

みずほ証によれば、同社のエクイティ調査部は現在120人体制で、 50人強のアナリスト、ストラテジスト、エコノミストが在籍している。

エグゼクティブ・サーチの小溝代表は、みずほはグローバルエクイ ティ業務が比較的小さいため、「日本株でリレーションシップを構築す ることで年金やヘッジファンドなど海外投資家を増やしていかなければ いけない。長い道のりだがそれはみずほの使命だ」と語った。

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