【コラム】中国反汚職運動に綻び、売春産業も復活-ミンター

旅客機のファーストクラス とビジネスクラスの違いは何だろう。少なくとも中国本土最大の航空会 社、国有の中国南方航空では全く違いはない。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が最近報じたところによれ ば、南方航空は最上級クラスをビジネスクラスと呼ぶことを決めたから だ。中国共産党が幹部のファーストクラスでの出張を原則禁止したこと に対応した措置で、南方航空は旅行代理店に「ファーストクラスと同等 のサービスを受けられる」と保証している。

中国の習近平国家主席は2012年11月の共産党総書記就任で事実上の 最高権力者となってすぐに、反汚職・ぜいたく禁止のキャンペーンに乗 り出した。南方航空の決定は習主席のキャンペーンを巧みにくぐり抜け るやり方の1つだ。

中国国営メディアは先に、国内にある56の5つ星ホテルが政府機関 が付与するこの格付けを引き下げるか、辞退することを探っていると伝 えた。5つ星ホテルでの宿泊に公費を投じることを禁止する方針への対 応策だ。中国国内外のメディアは東莞市で売春が復活していると最近報 道した。東莞は広東省の工業都市で、2月時点でセックスに絡んだ数千 の業者(それに推計で50万-80万人の売春婦)に対する取り締まり対象 となっている都市だ。

東莞に売春ビジネスが戻ったとしても中国人は誰も驚かない。あま りに大きな産業で、地元経済に対する影響も極めて大きい。当局が大々 的に展開した売春撲滅運動の真の標的は、売春そのものでは決してな い。その狙いはその土地特有の汚職とこうしたビジネスの隆盛を許した 共産党の体質を戒めることだ。

数十年(あるいはもっと長期)にわたり広東省で根深くはびこる利 益供与のネットワークこそがキャンペーンの標的で、皮肉なことに北京 の党幹部を顧みない地方の権力基盤が生まれた。今や反汚職キャンペー ンの嵐をやり過ごし、こうしたネットワークとその関連ビジネスが静か に復活しつつある。

方針転換

習主席が共産党の腐敗を一掃したいと真剣に願っているのは間違い ない。だが習主席の取り組みは今、周永康元党政治局常務委員といった 最悪の汚職案件を罰することに傾注しているようだ。好都合なことに標 的となっているのは政敵だ。

計算された方針転換なのかもしれない。困難な経済改革や環境対策 を成し遂げるため、習主席は実務を担う役人・党員からの支持をつなぎ 留めようと彼らの特権の一部の復活を静かに図っている可能性がある。

習主席の取り組みは汚職ではなく自らの権力に対する潜在的脅威を 排除することに常に重点が置かれているのかもしれない。いずれにせ よ、ぜいたくを売り物にする中国のビジネス業界がこうした方針転換を 歓迎するのは明らかだ。(アダム・ミンター)

(上海を拠点に活動するミンター氏はブルームバーグ・ビューに定 期的に寄稿しており、コラムの内容は同氏自身の見解です。同氏のツイ ッターは@AdamMinter

原題:Cracks Starting to Appear in Xi’s Corruption Drive: Adam Minter(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE