米国債(29日):月間で1月以来大幅高、ウクライナやECBで

米国債市場では10年債が月間ベース で1月以来の大幅上昇となった。ウクライナでの戦闘を背景に安全需要 が強まったほか、欧州中央銀行(ECB)が追加緩和に踏み切るとの観 測も買い材料となった。

この日の10年債利回りは前日比ほぼ変わらずで、14カ月ぶり低水準 付近。7月の米個人消費支出(PCE)がマイナスとなった一方、8月 の消費者マインド指数は上昇した。米連邦公開市場委員会(FOMC) が債券購入プログラムを縮小し、来年の利上げについて協議しているに もかかわらず、米国債には買いが集まっている。ECBが追加措置を講 じるとの観測を背景に、欧州債の利回りは過去最低水準に低下してい る。

ノバスコシア銀行の金利ストラテジスト、ガイ・ヘーゼルマン氏は 債券を買うのに「うってつけの状況だ」と指摘。「地政学的リスクが高 まっている。欧州ではゼロ成長とディスインフレが見られている。これ らが重なって債券市場に有利に働いている」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間 午後5時現在、10年債利回りは2.34%。一時は2.32%をつけた。同年債 (表面利率2.375%、2024年8月償還)価格は2/32下げて100 9/32。

同利回りは月間では21ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 低下と、下げ幅は1月(38bp低下)以来の最大となった。バンク・オ ブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によれば、10年債の8月の リターンは2.2%で、1月(3.2%)以来の最高。

ドラギ総裁、インフレ率

30年債利回りはほぼ変わらずの3.08%。一時は3.0585%をつけた。 週間ベースでは8bp、月間では24bpそれぞれ低下した。

9月1日は米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告に従い、レ ーバーデーの祝日で債券市場は休場となる。

ECBのドラギ総裁が先週、米ワイオミング州ジャクソンホールで の講演で、政策委員らは「物価安定を確実にするために利用可能なあら ゆる政策手段を活用する」とし、「政策姿勢をさらに調整する用意があ る」と言明して以降、ユーロ圏の債券利回りは過去最低に低下してい る。ECBは9月4日に次回政策会合を開く。

前日の欧州債券市場で、独10年債利回りは0.866%、仏10年債利回 りは1.217%とそれぞれ過去最低に下げた。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)がこの日発表した8月 のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%上昇。失業率 は過去最高水準付近にとどまった。

「地政学的問題」

ウクライナ東部の分離主義武装勢力は2つの前線で政府軍と戦って いる。北大西洋条約機構(NATO)は戦闘地域でのロシア部隊と先進 兵器の急増を指摘した。ウクライナでのロシア軍部隊の活動が撮影され ているとNATOが指摘した衛星写真について、ロシアのラブロフ外相 は偽物だと言明した。

キャンター・フィッツジェラルドの金利ストラテジスト、ジャステ ィン・レデラー氏(ニューヨーク在勤)は、「地政学問題や欧州が相場 を支えた」と指摘。「長期債は買う価値がある。FOMCが利上げに向 かい、金利先高観が出てくる中、短めの債券は控えたい」と述べた。

原題:Treasuries Advance Most in a Month Since January on ECB, Ukraine(抜粋)

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