【日本株週間展望】軟調、欧州金融政策や米景況感にらみ

9月第1週(1-5日)の日本株相 場は、欧州の金融政策や米国の景況感をにらみながら軟調な展開となり そうだ。景況感の悪化が懸念される国内では買い材料に乏しく、売買手 控えムードは強いとみられる。

ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは「日 本株は十分高い水準まで戻し、一服しやすいところにきている」とした うえで、「イベントがネガティブとなった場合には調整もありうる」と の見方を示した。

8月第4週の日経平均株価はその前の週に比べ、0.7%(115円)安 の1万5424円59銭で取引を終了した。下落は3週ぶり。国内景気の不透 明感や円安の勢い一服で陸運や不動産、小売、保険など内需関連中心に 安くなった。

欧州中央銀行(ECB)は9月4日に政策委員会を開催する。ドラ ギ総裁が8月22日にユーロ圏のインフレ期待が「大幅な低下を示した」 と語ったことから、市場はECBが量的緩和(QE)に近づいたと解 釈。為替市場ではユーロが売られ、対ドルでは11カ月ぶり安値を付け た。ドイツやイタリアなどユーロ諸国の国債利回りは過去最低を更新し た。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「量的金融 緩和に入る可能性がある。長い目では欧米株がかなり上昇する可能性が ある」としながらも、短期的には織り込みが進んだ反動から「いったん 株価が調整するかもしれない」と予想する。

重要指標が相次ぐ

米国では8月の重要経済指標の発表が相次ぐ。2日は米供給管理協 会(ISM)の製造業景況指数、4日はISM非製造業景況指数、5日 には雇用統計が予定されている。ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミスト予想では製造業景況指数が56.8(前回57.1)、非製造業景 況指数が57.4(同58.7)と高水準を持続する見込み。雇用統計の非農業 部門雇用者数は22万人増(同20万9000人増)が予想されている。

米景況感の良さは基本的に株価の下支えになるとみられるが、景気 の力強さが認識されるようなら早期利上げ観測が強まり「逆に警戒感が 出てくるかもしれない」とニッセイアセットの久保氏は指摘する。

ECB政策委員会と米雇用統計という金融政策とリンクする重要な イベントはいずれも週後半。「マーケットが大きく動揺しかねないとあ って、投資家は動かないだろう」と、三菱UFJモルガン・スタンレー 証券の荒井誠治投資ストラテジストはみる。

地政学リスク、低調なマクロ指標

地政学リスクも依然くすぶっている。ウクライナのポロシェンコ大 統領は28日、事実上のロシアの「侵攻」に対し防衛を強化すると表明。 オバマ米大統領は米国と欧州の同盟国がロシアに圧力をかけるため追加 制裁を協議していることを明らかにした。

マネックス・ヨーロッパの市場分析主任、アイメア・デーリー氏 (ロンドン在勤)は「ウクライナが分離派との戦いで勝利を望むのであ れば、早急に動く必要がある。つまり、数カ月間は地政学リスクの高ま った状態が続く」との見解を示す。

一方、国内では低調な経済指標が続いている。29日発表された7月 の鉱工業生産指数は前月比0.2%上昇(事前予想1.0%上昇)にとどま り、家計調査の全世帯消費支出は前年同月比5.9%減(同2.9%減)と予 想から大きく下振れた。全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコア CPI)は前年比で3.3%上昇と予想と一致したが、伸び率は前月と同 じだった。

香港キムエン証券のセールストレーディング担当ディレクター、ア ンドルー・サリバン氏は「消費税増税のインパクトがまだ感じられる 上、賃金が上がってない。消費者物価もインフレをまだ明確に生み出せ てない証拠としてネガティブだ」と分析。7月経済指標は「アベノミク スが順調でないという懸念を強める」と述べた。

政策期待は下支えも

そうした状況下、3日は内閣改造、3、4日は日本銀行の金融政策 決定会合が開催される。みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマ ネジャーは、日本株が下値を切り下げる展開にならないのは、経済指標 が悪ければ「政策がより具体性を増すため」と言う。「内閣改造後に早 ければ閣僚から補正予算の話が出てくる可能性がある。足元の景気が思 わしくないとの認識が広がれば、日銀の政策のニュアンスが微妙に変わ ることも考えられる」と話していた。

このほかの経済指標は、米国では3日に地区連銀経済報告(ベージ ュブック)、4日に8月のADP雇用統計、中国では1日に8月の製造 業購買担当者指数(PMI)が発表される。国内では1日に4-6月期 の法人企業統計調査などが予定されている。

--取材協力:Anna Kitanaka.

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